読書記録 2月
11-003 【出ふるさと記】 池内紀著 新潮社
高見順、金子光晴、安部公房、永井荷風、牧野信一、坂口安吾、尾崎翠、中島敦、寺山修司、尾崎放哉、田中小実昌、深沢七郎の12人のふるさと記である。
ここに出ている人で、その素性を何となく知っている人は、寺山修司、田中小実昌、深沢七郎くらいである。高見順と永井荷風は、親戚関係であるが仲が悪かったというのを聞いたことがあるが、永井荷風の父親の弟の私生児で生まれたのが高見順なのか。弟、当時福井県知事職にあった。高見順は、小説家として有名になってもふるさとに帰ることはなかったという。尾崎翠、その生い立ちは初めて読んだが、大正九年「新潮」に芥川龍之介、志賀直哉、佐藤春夫と並んでいて破格の扱いだった。それがデビュー作で24歳、日本女子大国文科に在学中のことだ。それでも食べていけない、鳥取と東京の生活だったようだ。作家がふるさとにどう向き合っていたのか興味深いものがある。
11-004 【ブックカフェのある街】 前野久美子編・著 メディアデザイン