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    危機の宰相

    • 2007.06.30 Saturday
    • 19:01
    危機の宰相

    沢木 耕太郎
     07−174 ★★★☆☆
     【危機の宰相】 沢木 耕太郎 著  魁星出版

     《東京オリンピックの年が懐かしい、…》

     内容(「BOOK」データベースより)
    政治家・池田勇人、エコノミスト・下村治、宏池会事務局長・田村敏雄―大蔵省という組織における敗者三人が、戦後の激動期をへて、「所得倍増」という夢を現実化してゆく…。「文藝春秋」誌上に発表された幻の作品が、加筆されてついに単行本化!!『テロルの決算』と対をなす歴史ノンフィクションの傑作。


     政治の話というより人間の絡みの話の方が強いような本だ。
     池田勇人は、ガラガラ声であって、咽喉ガンで亡くなったが、その人生も凄いものがあったのか、大病してから人生がある。

     三島由紀夫のことが載っている文が良いので書いておこう。
     1959年1月(読売新聞)
     《何だかだと言いながら、すでに十四年目の平和の春を迎える。平和も十四年となると、そんなにオボコの平和ではなく、かなりスレッカラシの平和である。蜜月の平和でなく、かなり風雪に耐えた平和である。それだけに手放しで甘いことも言っていられないが、土性骨も座って来たことも歪めない》
     《富士山も、空から火口を直下に眺めれば、そんなに秀麗と云うわけには行かない。しかし現実というものは、いろんな面を持っている。火口を眺め下ろした富士の像は、現実暴露かもしれないが、麓から仰いだ秀麗な富士の姿も、あくまで現実の一面であり一部である》
     《今年こそ政治も経済も、文化も、本当のバランス、それこそスレッカラシの大人のバランスに達してほしいと思うのは私一人ではあるまい。小さいバランスではなく、楽天主義と悲観主義、理想と実行、夢と一歩一歩の努力、こういう対蹠的なものを、両足にどっしりと踏まえたバランス、それこそが本当の現実的な政治、現実的な経済、現実的な文化というものであると思う》
     《古代ギリシア人は、小さな国に住み、バランスある思考を持ち、真の現実主義をわがものにしていた。われわれは膨大な大国よりも、発狂しやすくない素質を持っていることを、感謝しなければならない。
    世界の静かな中心であれ》(本文より)

    先日亡くなった、宮沢喜一元首相のことも出てくる。語学が堪能だったことが書いてある。ご冥福を祈ります。

    世界一周恐怖航海記  車谷 長吉

    • 2007.06.29 Friday
    • 00:39
    世界一周恐怖航海記
    世界一周恐怖航海記
    車谷 長吉
     07−173 ★★★★☆
     【世界一周恐怖航海記】 車谷 長吉 著  文藝春秋

     《航海記というより人生記という本か、…》

     内容(「MARC」データベースより)
    車谷長吉、60歳にして初の日本脱出! ヴェトナム、南アフリカ、ブラジル、イースター島、パプアニューギニア…。未知の世界で見聞き、体験した「恐怖の」航海記。『文学界』連載に大幅加筆して単行本化。


     この本は、旅行記なのだが人生を綴った本だ。
     車屋長吉さんの【赤目四十八瀧心中未遂】を読んで、震えた。しばらく置いて、【贋世捨人】を読んで震えた。その答えが、この本にあったように思えた。

     山本健太郎氏に小説の書き方について話す。小説とは「人が人であることの謎」について書くこと。つまり「人間とは何か」という問いに対する答えである。作家になるためには、一年に一人の作家の全集を全部読む必要がある。それを三十年ぐらいくり返す。また自分が気に入った作家の作品一篇を、五十回ぐらい声を出して読み、耳から聞いて全部記憶してしまうこと。私の場合は、森鷗外の「阿部一族」をそうした。国語辞典、漢和辞典を全部読む。これらのは必要条件であって、十分条件ではない。これだけの努力をしても、なれない人はなれない。覚悟が必要である。以上のようなことを話す。夕暮れ、土砂降りの雨。  (本文より)

    となりの用心棒  池永 陽

    • 2007.06.26 Tuesday
    • 23:33
    となりの用心棒
    となりの用心棒
    池永 陽
     07−172 ★★★☆☆
     【となりの用心棒】 池永 陽 著  角川書店

     《ユーモアヒロー小説か、…》

     出版社/著者からの内容紹介より
    気は優しくて力持ち、情に脆くて女にちょっぴり弱い用心棒の異色の人情小説
    婿養子に入った巨漢の勇作は一念発起して空手道場をオープン。気の優しい勇作はたちまち商店街のよき相談相手に。が、肝心の門下生は思うように集まらず…。情に脆くて女にちょっぴり弱い、ユーモアヒーロー小説。

    内容(「BOOK」データベースより)
    頼もしい男が商店街にやってきた!気は優しくて力持ち。けれど情にもろくて女性にはめっぽう弱い、小さな町の用心棒。脛に傷をもった善良な人々と悲哀ただよう“弱者の味方”を描く、涙と笑いが交錯する傑作人情小説。


    この主人公も沖縄出身である。ブログ仲間の人から聞かれたのだが、池永陽さんは何か沖縄と関係ある人ですかと、どうなんだろうか。出身は豊橋市となっているから違うが、何か繋がりがあるんだろうか。

     この本は、商店街に婿養子として入って、空手道場を開設する。商店街の人たちと主人公との交わりとそこの人たちとの義理とユーモアとちょっと切ないストーリーだ。

    悪意の手記  中村 文則

    • 2007.06.24 Sunday
    • 21:02
    悪意の手記
    悪意の手記
    中村 文則
     07−171 ★★★☆☆
     【悪意の手記】 中村 文則 著 新潮社

     《悪意はどこにあるのか、…》

     内容(「BOOK」データベースより)
    「なぜ人間は人間を殺すとあんなにも動揺するのか、動揺しない人間と動揺する人間の違いはどこにあるのか、どうして殺人の感触はああもからみつくようにいつまでも残るのか」―死への恐怖、悪意と暴力、殺人の誘惑。ふとした迷いから人を殺した現代の青年の実感を、精緻な文体で伝え、究極のテーマに正面から立ち向かう、新・芥川賞作家の野心作。


     残り少ない人生が、…。
     人を殺して、どう、どこに向かえばいいのか、…。
     青年のたどる道とは、…。

    銀の匙  中 勘助

    • 2007.06.23 Saturday
    • 05:47
    銀の匙
    銀の匙
    中 勘助
     07−170 ★★★☆☆
     【銀の匙】 中 勘助 著  岩波文庫

     《少年時代の思い出が、…》

     出版社/著者からの内容紹介より
    なかなか開かなかった茶箪笥の抽匣(ひきだし)からみつけた銀の匙.伯母さんの無限の愛情に包まれて過ごした日々.少年時代の思い出を中勘助(1885-1965)が自伝風に綴ったこの作品には,子ども自身の感情世界が,子どもが感じ体験したままに素直に描き出されている.漱石が未曾有の秀作として絶賛した名作.改版.(解説=和辻哲郎)


     岩波文庫80年、私の三冊で誰でも上げていた本である。
     子供時代の日々がそのまま出ている。ずいぶん内弁慶な人だと感じた。伯母さんの愛情が異常なほどなことがわかる。夏目漱石が絶賛したと言われる本。
     この本を通して、この時代のことが、遊びなどわかり貴重な本のように感じた。

    君たちはどう生きるか  吉野 源三郎

    • 2007.06.19 Tuesday
    • 22:23
    君たちはどう生きるか
    君たちはどう生きるか
    吉野 源三郎
     07−169 ★★★★★
     【君たちはどう生きるか】 吉野 源三郎 著  岩波文庫

     《精神が洗われる気持ちになってしまった》

     内容(「BOOK」データベースより)
    著者がコペル君の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か。それは、人生いかに生くべきかと問うとき、常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問われねばならぬ、というメッセージであった。著者の没後追悼の意をこめて書かれた「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」(丸山真男)を付載。


     岩波書店、岩波文庫80周年、私の三冊、その中で数人の人たちがこの本をあげていた。中学生・コペル君の日常生活を元に物語風にして、精神的成長を通して、人生にどう生きていくかを問うている。決して難しい本ではないがいろいろと奥が深いものがある。
     差別、モラルのことから、物理、経済のことまでも書いてあり、こういう本が明治時代にあったのか、どうして今までこんな本を読んだことがないのか。でも読んだことで嬉しくなってくる。それほどに思いに残る本だった。

    死顔  吉村 昭

    • 2007.06.19 Tuesday
    • 20:23
    死顔
    死顔
    吉村 昭
     07−168 ★★★★★
     【死顔】 吉村 昭 著 新潮社

     《遺作短篇集、死に対する考え方が》

     内容(「BOOK」データベースより)
    生と死を凝視しつづけた作家が、兄の死を題材に自らの死生観を凝縮し、死の直前まで推敲をつづけた短篇「死顔」。死の静謐を期し、延命措置への違和が表明されている。著者の最期とも符合する表題作など、全五篇の遺作小説集。

     内容(「MARC」データベースより)
    自らの死を自覚して延命治療を拒んだ著者が、遺書のように書き残した短篇集。自らの最期とも符号する表題作など、全5篇を収録する。闘病と最期の刻を夫人・津村節子がつづる「遺作について」を併録。


     電車に乗って、吉村昭【死顔】を読む。吉村さんは去年亡くなったので遺作短篇集だ。この本を読むと何故自ら管を取り外して死を選んだかがわかるような気がするのだ。いろいるな死に対した経験があるので、自らの死に対する気持ちを持っている。胸に重いものでなく、ずしりとしたものが入りこんでくるのだ。

    バナールな現象  奥泉 光

    • 2007.06.17 Sunday
    • 20:28
    バナールな現象
    バナールな現象
    奥泉 光
     07−167 ★★★☆☆
     【バナールな現象】 奥泉 光 著 集英社

     《戦争と東京での日常生活がどこかで、…》

     内容(「BOOK」データベースより)
    1991年1月17日、湾岸戦争が始まった。砂漠の戦場から遠く離れた東京の郊外で、妻の出産を待つ大学講師・木苺の凡庸な日常に突然、暗黒の陥穽が口を開く。モーセのトーラー、鴉、理不尽な暴力の予感、そして改竄される歴史。様々な謎が顕在し、現実は虚構に侵蝕されてゆく。あの日を境にして世界は変わってしまったのか?21世紀の今日に鮮烈に屹立する、戦争と狂気の時代を黙示した問題作。


     恥ずかしいが、この本に出てくるニーチェの思想のことがあまり理解できていない。が、この本面白かった。イラク戦争と主人公・大学講師・木苺との日常との比較がどこかで繋がっているのか、戦争という狂気の時代という世界に、私たちは何が出来るのだろうか、無力なだけか。

    初恋温泉  吉田 修一

    • 2007.06.16 Saturday
    • 23:59
    初恋温泉
    初恋温泉
    吉田 修一
     07−166 ★★★☆☆
     【初恋温泉】 吉田 修一 著  集英社

     《温泉って、響きが日本的だなー》

     出版社/著者からの内容紹介より
    温泉に泊まる5組の男女の恋愛小説集。
    突然妻に別れ話を切り出され、とまどう夫。雪の一軒宿の謎めいたカップル。初めて恋人と温泉旅館に泊まる高校生。熱海・青荷・黒川ほか、日常を少し離れた温泉宿で繰り広げられる男と女の風景。


     温泉に泊まる男女の恋愛小説だが、終わり方が余韻があって良い。温泉に入って、いつまでも温かい気分のままだ。そんな余韻が残る小説だ。
     温泉って、何故いつまでも熱く、冷めない。恋愛もそうあって欲しいが、…。

    よもつひらさか  今邑 彩

    • 2007.06.15 Friday
    • 19:11
    よもつひらさか
    よもつひらさか
    今邑 彩
     07−165 ★★★☆☆
     【よもつひらさか】 今邑 彩 著  集英社

     《日常に起こりうる12の短篇集》

     内容(「BOOK」データベースより)
    現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。ちょうど立ちくらみをおぼえた私は、青年の差し出すなまぬるい水を飲み干し…。一人でこの坂を歩いていると、死者に会うことがあるという不気味な言い伝えを描く表題作ほか、戦慄と恐怖の異世界を繊細に紡ぎ出す全12篇のホラー短編集。


     帯文の宮部みゆきさんのこの言葉が良い。
     『触れれば心が、ひやりと切れる…。』
     日常の日々にある心の闇を覗き見る。
     最後の結末が凄い、オチが凄い。
     やっぱりホラーなのか、ホラー小説か。

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