あの日にドライブ
荻原 浩
258 ★★★★☆
【あの日にドライブ】 荻原浩 著 光文社
この本に、新たに職業も変えたために円形脱毛症になるくだりが出てくる。
私も上場会社にいた時、小さな事務所を立ち上げるので参加しないかとの誘いがあった。余り、そのことは考えていなかったが、ある日寮の浴室で洗髪しているときに顔を上げたら頭の真ん中にまん丸の空間がある。ものの見事に毛がそっくり無くなってしまっているのだ。ビックリ仰天である。隣で洗っていた人が何を驚いているのか訝しげにしていた。翌日、病院に行ったら、『直ぐに直りますよ、注射にしますか、塗り薬にしますか』、『どちらとも直りますか、なら、塗り薬でお願いします』、情けない。それで決心して事務所設立に加わった。それから、いろんなことがあった。
もう一度、人生をやり直すことができたら。
もう一度、人生をやり直すことができるなら、どこからだろう。
(本文より)
この本は、銀行で支店長にたてついたことで一時にタクシー運転手になって働いている人の話だ。1流銀行を辞めてから、問うのである。順風満帆なら考えないであろう、『もう一度、人生をやり直すことができるなら、どこからだろう。』と。
この本は、何度か会社を替わったりしている人、リストラにあった人などには読むと主人公にダブらせる心境になるだろう。
『もう一度、人生をやり直すことができるなら、どこからだろう。』、と私も思うのであるのだ。