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    あの日にドライブ  荻原 浩

    • 2005.12.30 Friday
    • 00:58
    あの日にドライブ
    あの日にドライブ
    荻原 浩


    258 ★★★★☆
    【あの日にドライブ】 荻原浩 著  光文社


     この本に、新たに職業も変えたために円形脱毛症になるくだりが出てくる。
     私も上場会社にいた時、小さな事務所を立ち上げるので参加しないかとの誘いがあった。余り、そのことは考えていなかったが、ある日寮の浴室で洗髪しているときに顔を上げたら頭の真ん中にまん丸の空間がある。ものの見事に毛がそっくり無くなってしまっているのだ。ビックリ仰天である。隣で洗っていた人が何を驚いているのか訝しげにしていた。翌日、病院に行ったら、『直ぐに直りますよ、注射にしますか、塗り薬にしますか』、『どちらとも直りますか、なら、塗り薬でお願いします』、情けない。それで決心して事務所設立に加わった。それから、いろんなことがあった。
     
     もう一度、人生をやり直すことができたら。
     もう一度、人生をやり直すことができるなら、どこからだろう。
      (本文より)

     この本は、銀行で支店長にたてついたことで一時にタクシー運転手になって働いている人の話だ。1流銀行を辞めてから、問うのである。順風満帆なら考えないであろう、『もう一度、人生をやり直すことができるなら、どこからだろう。』と。 
     この本は、何度か会社を替わったりしている人、リストラにあった人などには読むと主人公にダブらせる心境になるだろう。
     『もう一度、人生をやり直すことができるなら、どこからだろう。』、と私も思うのであるのだ。 

    雨にもまけず粗茶一服  松村 栄子

    • 2005.12.28 Wednesday
    • 00:30
    雨にもまけず粗茶一服
    雨にもまけず粗茶一服
    松村 栄子


    257 ★★★★☆
    【雨にもまけず粗茶一服】 松村栄子 著  マガジンハウス


    この本は、友衛家・坂東巴流(武家のたしなみである弓道・剣道・茶道を伝え、三つの道は同じところへ通ずると教えてはいるものの、現在では茶道が流派の重きをなしている)の跡取り・遊馬が家出して、何故か本家のある京都での生活が始まる。茶道のことがメインである。非常に面白い本だった。

     何年か前に京都に旅行した。2泊3日の電車代と宿泊代が決まっているものだった。そこにオプションで夜の茶会というものがあり、それに無謀にも参加してみた。秀吉とねねの寺として有名な高台寺だった。20人1組単位だった気がする。ただ単にお茶を飲むと思っていたが、やはりそれなりの所作を知らないと大変だった。リーダーらしき人のお言葉などあり、お菓子の食べ方、お茶の飲み方、こういうのは、学生時代に教えて欲しいものだと痛感した。途中で蝋燭だけの明かりになり風情を感じたが、その時ばかりは、辺りが暗くなったのが有難かったのだ。周りは、皆茶道の経験者であった。


     この物語は、茶道の跡取りが嫌で家出したが最後には茶道に志すという成長物語である。京都新聞に連載されていたもので、京都のことも一杯出てくる。最後の章は、胸に熱きものを感じるのだ。    

    バラ色の怪物  笹生 陽子

    • 2005.12.26 Monday
    • 00:31
    バラ色の怪物
    バラ色の怪物
    笹生 陽子

    256 ★★★☆☆
    【バラ色の怪物】 笹生陽子 著  講談社


     笹生さんの作品を読むのは、2冊目だ。
     前回のも主人公が男の子だったが、今回も中学生の子だ。
     父親と離婚した母親と二人暮らし。
     そんな主人公に、そーと怪物が忍び寄ってくる。
     現代という時代は子供たちにどんな影響を与えているのか。
     こっちの世界、あっちの世界があるのか。
     ひょっとしたら、そうした世界を我々大人が作り出しているのかも知れない。

    球形の季節  恩田 陸

    • 2005.12.25 Sunday
    • 00:32
    球形の季節
    球形の季節
    恩田 陸

    255 ★★★☆☆
    【球形の季節】 恩田陸 著  新潮社


     恩田作品を読むのは、何冊目だろうか。この作品も独特なもので恩田ワールドと言われるもので不思議な空間だ。
     東北地方の小都市で起きる現象を高校生・主人公を通して語る物語だ。これはファンタジーなのか、ホラーなのか、現実なのか、いやそれのどれもが入っている作品だ。それは美しい自然だったり、閉鎖された地方都市の恐怖だったり、毎日元気に通う高校生活だったり、それが一緒になり作品を形成しているのだ。

     「―俺は、つまらんよ。みんな何も考えてないし、何も感じてない。そのくせ傷つけられることだけにはえらく敏感でさ。日本人に生まれたっていうのも間違いだったかもな。人と違ったことをするのは恥ずかしいことだとちっちゃい頃から呪文のように教えこまれる。何か思いついたことをしようとすると、寄ってたかって押し倒され踏みつぶされる。…(中略)」 (本文より)
     
     うわさ、噂は、怖い。

    ナラタージュ  島本 理生

    • 2005.12.24 Saturday
    • 00:33
    ナラタージュ
    ナラタージュ
    島本 理生

    254 ★★★★☆
    【ナラタージュ】 島本理生 著 角川書店


     島本さんの作品を今年、四作読んだ。
     【シルエット】【リトル・バイ・リトル】【生まれる森】と今回の【ナラタージュ】である。偶然にも発行順に読んだ。【シルエット】の17歳から、【ナラタージュ】の22歳まである。【シルエット】での精一杯の文体から、今回は自然な感じが出ている気がした。確実に巧くなっていのを実感した。島本さんの作品は、文章・文体が飛び跳ねたりしない、もので小説の王道などと言われている。何回か、芥川賞候補にもなっている。

     女子高校生・泉の多感なときに出会う教師・葉山に好意を寄せる。
    純粋な愛、それに戸惑う教師がいる。教師は、ズルガしこく写るが、やはりちょっぴり大人であり、経験がある。同世代の小野君のストレートな好意と比較することで恋愛・愛情とは何かと考えさせられるのだ。こんな恋を経験したら、どんな大人になってどんな恋をするのか、と思ってしまうのだ。だが、この本は、【ナラタージュ】回想という形を取っているので、私の素朴な質問にも答えてあるのだ。

     真正面から恋愛に取り組んでいるし、恋愛感情が実に丁寧に繊細に書かれていて、主人公の気持ちのありようもわかる。読んでいても、読みやすいし、内容はともかくとし読んでいて心地が良いのだ。 

    秋日和  赤瀬川 隼

    • 2005.12.23 Friday
    • 00:34
    秋日和
    秋日和
    赤瀬川 隼

    253 ★★★☆☆
    【秋日和】 赤瀬川隼 著  光文社


     10編の短編集である。
     初老すぎて仕事も一段落し、ふと辺りを見ると可愛い女性がいる。
     胸のときめきが若い時代を思い出させてくれる。 
    向こうもこちらを向いて笑顔で話してくれる。
     まんざら捨てたものじゃなんて思ってしまう。
     食事に誘ってみた。美味しそうに食べるのが、また可愛い。
     今度は、音楽会でもなどと思うと心が躍るのだ。
     『あの、甥っこさんからオジサン寂しいそうだから話してあげてよと言われましたから』
     甥っ子が、そうなのか。
     そうだよな、こんなにスムーズにいかないよな。
     でもひと時が、楽しかったなー、と思う。

     何だか、そんな物語が一杯の本です。

    プリズム  貫井 徳郎

    • 2005.12.22 Thursday
    • 00:35
    プリズム
    プリズム
    貫井 徳郎


    252 ★★★☆☆
    【プリズム】 貫井徳郎 著  実業之日本社


     本文にプリズムと言うのは、ここだけしか出てこない。そこを紹介する。
      美津子のお喋りは、手綱を解き放たれた駿馬のようにあちこちに飛んだ。音楽や絵画鑑賞など趣味の話かと思えば、若い女性らしくファッションや食事の話になる。そしてそこから派生していきなり哲学を論じたかと思えば、なぜか医学用語にも精通していたりする。私にとってそれは、目まぐるしく姿を変える万華鏡か、あるいは様々な色の光を乱舞させる<下線>プリズムのようだった。話をすればするほど、私の目には彼女は謎めいて映じた。(本文より)

     小学校の女性教師・美津子が自分のマンションで殺された。
     「虚飾の仮面」 クラスの子供たち 
    「仮面の裏側」 同僚の女性教師
     「裏側の感情」 元恋人
     「感情の虚飾」 クラスの子供の男親
     いろいろの視点から、殺された女性教師が語られているのだ。
     人間には、いろんな面があり、光線を通して屈折したりして光輝いているのだろうか。

    ボロボロになった人へ  リリー・フランキー

    • 2005.12.20 Tuesday
    • 00:37
    ボロボロになった人へ
    ボロボロになった人へ
    リリー・フランキー


    251 ★★★☆☆
    【ボロボロになった人へ】 Lily Franky 著 幻冬舎


     今や時の人になった感じのリリー・フランキーさんの本である。
     リリー・フランキーさんって何やっている人なのか。イラストレーターが本職。テレビで見るのだが。
     この本は、短編集である。ブラックユーモアではないし、こんな書き方・筋書きのことを何と言うのだろうか。
     「死刑」と言うのが、おかしかった。17才・川瀬は、書店で雑誌1冊を万引きしたことを見つかり窃盗罪の現行犯逮捕となった。弁護士・伊東と17才・川瀬との死刑に対する考え方・会話が面白いのだ。まあ、最後のオチが何とも愉快なのだ。    

    漢方小説  中島 たい子

    • 2005.12.19 Monday
    • 00:38
    漢方小説
    漢方小説
    中島 たい子

    250 ★★★☆☆
    【漢方小説】 中島たい子 著  集英社 すばる文学賞受賞作 芥川賞候補作

     250という数字、今年に読んだ本の数である。
    随分読んだなーと思うのだが、果たして何冊くらい内容を覚えているだろうか。濫読でもいいから数多く、数多い作家さんの本を読もうと決意したのだ。いろんなジャンルの本を読んだ。まだまだ一杯読もう、そこから何かが見えるか、見えてほしいような気がする。

     この本の主人公は、女性で31歳である。
    女性の31歳という年齢がどんな感じなのだろうか、31歳の感情が良く出ている作品だと思う。題名から漢方専門書的なものかと思っていたが、なるほどこんなストーリーなのかと感心してしまった。
     失恋?のいく着き先が漢方診療所とは… 。

    ソナタの夜  永井 するみ

    • 2005.12.18 Sunday
    • 00:39
    ソナタの夜
    ソナタの夜
    永井 するみ

    249 ★★☆☆☆
    【ソナタの夜】 永井するみ 著  講談社


    この本は、7編の短編集である。
     最初の「ミルクティ」に音楽家が事故によってあきらめた主人公の話が出てくる。
     先週、忘年会の流れでライブハウスに行った。ビートルズのヒットメドレーなどの演奏で大いに盛りあがった。当然、そんな席だと音楽の話になる。子供がフルートではないがそれに似た楽器をやっていると一人が言うと、もう一人が楽器は大変だと言うのだ。
     私も以前、こんな話を聞いた。子供がバイオリンを習いに近くの教室に通っていた。そして、ある程度経ったら、そこの先生が子供さんに素質があるので別の先生を紹介してやるので、その先生に通うようになった。埼玉からの交通費、楽器も買い替えたり、それよりも授業料が高額になってきたのだ。子供には、存分に習わせたいがお金も掛かる、大体子供の才能はどれ位あるのか。楽器を習うことは良いが才能が少しでもあると言われると親は…、考えさせられるのだ。

     この短編集は、大人の恋愛の話だ。
     子供が大きくなり手が掛からなくなり、ふと振り返ってみると、あの時の男性に想いが及ぶ、勇気を振出して電話をしてみる。あの時、言えない気持ちが十年過ぎたら素直な気持ちが言える。だが、過ぎ去った時間は戻ってこないのだが……。  

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