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    卵の緒  瀬尾 まいこ

    • 2005.09.29 Thursday
    • 13:50
    卵の緒
    卵の緒
    瀬尾 まいこ

     189 ★★★★★

     【卵の緒】 瀬尾まいこ 著 マガジンハウス 坊ちゃん文学大賞受賞作

     瀬尾さんの作品の魅力は、温かい優しい言葉がたくさんちりばめられていることです。言葉の使い方が巧いのです。何気なく日常に使う言葉が生き生きしたものになるのです。それが、読者にとって途轍もなく気持ちよく心豊かにしてくれるのです。

     [卵の緒]は、家族のあり方を問うています。『僕は捨て子だ。』で始まる文章は、何かを暗示していますが、最後の方では、その答えを出しています。どんなミステリーにもない心温まる解決策です。母・君子、息子・育夫、朝井さん、池内君と登場人物が魅力たっぷりなのです。読後は、幸せ一杯にしてくれるのです。

     「7´s blood」は、瀬尾さんの作品の設定の巧さを出しています。

    夏化粧  池上 永一

    • 2005.09.27 Tuesday
    • 14:05
    夏化粧
    夏化粧
    池上 永一


     188  ★★★☆☆
     【夏化粧】 池上永一 著  文藝春秋

     もう何年前の話になるが、こんな本を読むと思い出します。
     私は、友人と別れて、地下鉄・丸の内線の東京駅から乗り込んだ。休日の夕方、各車両には数える位しか乗客がいない。長いシートにも隅だけか、あるいは中央に二人連れしか乗っていないのだ。私は、長いシートの中央に座った。こんな電車には滅多に乗れないと思ったのだ。
     この日、地上は靄がかかる、小雨まじりの天気だった。地下の電車の中も妙に湿っぽさを感じていた。
     次の駅から乗り込んできた一人の乗客が私の横に座ったのだ。長いシートの中央私が座っているだけであるのに。普通、乗客の座る位置は両隅から埋まっていくのだ。
     わたしは、ちょっと不気味なものを感じた。中肉中背でスーツ姿のサラリーマンである。長年着古した感じのスーツの光ぐあいである。顔を覗き見て、驚いた。声を出しそうになるのをこらえた。2、3日前にお通夜に行った、その亡くなった知り合いにそっくりだったからである。メガネ、顔の輪郭、髪型の感じが似ているのだ。声を掛けたい衝動になったが我慢した。というか、驚きのあまり頭の中が混乱していて、何も考えられないのだ。

     ところが、次の駅でその人物は降りていってしまった。私の頭は、右往左往しているだけで気持ちの整理がつかないでいるのだ。私には、この一区間の出来事がえらく長い時間に感じられてしょうがなかった。

     今、あの出来事を思い出すとき、亡くなった知り合いは私に何かのメッセージを託しにきたのだろうか、と考えてしまうのだ。

     前振りが長くなってしまったが、この本は光と闇(陽と陰)の世界の出来事の話である。

     

    イッツ・オンリー・トーク  絲山 秋子

    • 2005.09.26 Monday
    • 14:07
    イッツ・オンリー・トーク
    イッツ・オンリー・トーク
    絲山 秋子

    187 ★★★☆☆
     【イッツ・オンリー・トーク】 絲山秋子 著  文藝春秋

     この作家のデビュー作である。
     第96回文学界新人賞受賞となり、芥川賞候補作になった作品である。

     【逃亡くそたわけ】は、最新刊であるがこのデビュー作を読むとなるほどとうなずくばかりである。登場する人物がおかしく、懐かしく個性に溢れているのだ。主人公の何とも不思議な感じだが、憎めないのだ。この感覚が良くわからない。よい意味でバイタリティがあり、自己主張もあるのだが憂鬱症なのだ。


     都会議員、元ヒモ居候、鬱病のヤクザ、痴漢などなどが主人公・橘優子の絡みの会話が面白い。あーっという間に読んでしまう、やはり文章にこの作家の感性があるのだろうか。

     もうひとつの【第七障害】も良かった。
     乗馬で人馬とも転倒して、主人公・女性は骨折したが、その馬は予後不良になり処分された。乗馬も止め、群馬から東京に変えたが、どうしても自分が殺したという思いがぬぐい去ることが出来ないのだ。そこからぬけ出ることが出来るのか。群馬の警察官の恋人を捨て、その妹とマンションに暮らし始めるのだが。読んでいると、訳がわからないがじんわりとしてくるのだ。

    プルミン  海月 ルイ

    • 2005.09.24 Saturday
    • 14:09
    プルミン
    プルミン
    海月 ルイ

    186  ★★★☆☆
     【プルミン】 海月ルイ 著  文藝春秋

     公園で遊んでいた四人の男児。その一人が見知らぬ女から貰った乳酸飲料・プルミンを飲んで死んだ。暴力的でいじめっ子が死んだのだ。

     学校のこと、PTAのこと、家族のこと、親子のことの奥底に流れるものは何か…?。
     

    パンプルムース!  江國 香織, いわさきちひろ

    • 2005.09.23 Friday
    • 14:19
    パンプルムース!
    パンプルムース!
    江國 香織, いわさきちひろ


    185 ★★★☆☆
     【パンプルムース!】 江國香織 文 いわさきちひろ 絵  講談社

     休日の昼間、のんびりとした気分で絵本を眺めるのも良い時間の取り方なのであります。今日は寒いので温かい紅茶を飲みながら読むことにしましょう。コーヒーではだめですよ。

     いわさきちひろさんのふんわりとした絵が何とも良いのです。江國香織さんの詩も江國らしくて良いのです。書いてある字が全部ひらがなののです。世の中も全部ひらがなだと平和だと感じてしまうのです。


        よのなか
      
       はしれ いぬ
       こぼれろ ミルク
       もえろ ひ
       きれ ハサミ
       うれろ くだもの
       ながれろ かわ
       およげ カエル
       かがやけ おつきさま
       うまれろ あかんぼう
       ふれ ゆき
       なれ ピアノ
       ながいきせよ おとな
       それらぜんぶを
       たしかめよ わたし     (本文より)



     1974年に、いわさきちひろさんは亡くなっているが、こうして絵本が出ることがうれしいのです。

    地図にない国  川上 健一

    • 2005.09.22 Thursday
    • 15:25
    地図にない国
    地図にない国
    川上 健一

    184 ★★☆☆☆
     【地図にない国】 川上健一 著  双葉社

     スペインのパンプローナ、牛追い祭りが満載の本だ。
     この作家の【翼はいつまでも】の作品があまりにも印象が良かったので期待したのだが、いまいちの感じだった。


     「朝いいましたけど、生きているっていうことを感じてみたかったんです。三年前にニュースでエンシエロを見たんです。その時に、毎年牛の角の前を走っている人が、なぜ命の危険を冒してまで走るのかとインタビューされて、危険が大きければ大きいほど生きているというという実感が得られるからだと答えていたんです。私、しがないサラリーマンでして、決まるきった毎日をすごしていて、ただなんとなく日々をすごしているだけで、いつかはエンシロエを走ってみたいと思うようになったんです。生きているってことを感じてみたいって思いましてね。それで毎日走り始めたんです」(本文より)

     上の言葉に集約されている本であったと思うのだ。

    青いあひる  水木 楊

    • 2005.09.20 Tuesday
    • 15:27
    青いあひる
    青いあひる
    水木 楊

    183 ★★★☆☆
     【青いあひる】 水木楊 著  文藝春秋

    会社から離れて、見えてきたもの。

     戦中に幼年期を過ごした男たちが、
     がむしゃらに生き、ふと立ち止まる「今」。
     友との思い出を軸に、運命の切なさや、
     人の温もりを感じさせる六つの物語。  (帯文より)

      この本に出てくる主人公は、比較的に会社では成功した人たちである。良い境遇に巡り合いながらも人生の哀歓はあるのである。それは、ちょっと庶民感覚とは違うような気もするのだが。
     会社組織から離れて改めて人生を見つめると、どう変わるのだろうか。私などは、生きていくために給与をもらっているだけであるからそんなには変わらないのかと思うと何故か虚しいのだ。

    ジャンピング・ベイビー  野中 柊

    • 2005.09.19 Monday
    • 15:29
    ジャンピング・ベイビー
    ジャンピング・ベイビー
    野中 柊

    182 ★★★☆☆
     【ジャンピング☆ベイビー】 野中柊 著  新潮社

     今日、鎌倉まで行ってきた。
     電車の中で2冊は読書が出来ると思い、【逃亡くそたわけ】と同じくらいの本の厚さだったので、この本を持っていきました。ところが驚いたことか、この作品が主人公が元夫と鎌倉駅で待ち合わせするところから始まるのです。

     鹿の子・主人公、ウィリー・元夫、ジュディ・元夫の妻、ユキオ・猫しか、あーっとウィリー・ジュニア・元夫の子しか出てきません。主人公と元夫の話がほとんどですが、1日の中にそれらが全部ありますので、なかなかオモシロイ本でした。日本女性とアメリカ男性の恋愛・結婚と興味深いものがあります。9.11のテロ、ブッシュとクリントンの違いは、アメリカ社会の不思議なども取り上げられています。ここでも精神的な病のことが出ています。主人公がアメリカで生活すると、こうなるのか。国際結婚という問題なのか、最後の場面がちょっとわかりませんでしたが。鹿の子と言う名が銀座の甘味処を直ぐ思い、どうもいけませんでした。表紙の写真が今話題の蜷川実花さんです。

    逃亡くそたわけ  絲山秋子

    • 2005.09.18 Sunday
    • 15:30
    逃亡くそたわけ
    逃亡くそたわけ
    絲山秋子

    181 ★★★☆☆
     【逃亡くそたわけ】 絲山秋子 著  中央公論新社 直木賞候補作

     福岡市内の精神病院から脱走した二人が九州を縦断する物語。
     亜麻布二十エレは上衣一着に値すると言う幻聴が主人公に度々登場するのだが、資本論の言葉だがそうだが作家は大学の経済学部の出身だが、この主人公も経済学部に通っているのだろうか。

     この作品は、テンポもよく車の移動なので爽快感もある。二人の方言・言葉も面白い。また、ご当地のいきなり団子となごやんの登場などとにぎやかだ。
     躁・鬱とよくわからないが、誰もが少しずつは持ち合わせているのでは思っています。感情の高ぶりや、落ち込みなど誰でもがある、それがある度合いを越すと精神病になってしまうのか。この作品でも躁・鬱病の薬が出てきますが、この作家さんのホームページにも薬の効能が詳しく載っています。ついでにエッセイも読むと社会人として福岡に滞在したことがあり、九州のエッセイが一杯と載っています。

     私も九州人ですが、方言を聞くのは蓬田さんみたいに恥ずかしい気がしていましたが、この本を読むと別にそんな感情にはなりませんでした。博多弁と熊本弁とは、ちょっとニュアンスが違うのでしょうか。鹿児島弁は全く別物ですが、たしか江戸時代、外様大名のために他譜藩にわからない言葉にしたと聞いていますが。一度だけ鹿児島に行きましたが年配の人が何を言っているのか、全くわかりませんでした。そのとき本に出てくる長崎鼻にも行きました。


     この本は日常から開放されて、また自分自身を見つめる物語なのだ。

    世界がもし100人の村だったら  池田 香代子, C.ダグラス・ラミス

    • 2005.09.17 Saturday
    • 15:37
    世界がもし100人の村だったら
    世界がもし100人の村だったら
    池田 香代子, C.ダグラス・ラミス

    179 ★★★★☆
     【世界がもし100人の村だったら】 池田香代子 再話 C.ダグラス・スミス 対訳  マガジンハウス


     世界が63億人、それを100人の村に縮めるとどうなるか。見えてこないものが見えてくる。何年か前に話題になった本である。Eメールでも話題になって本になった作品だ。
     


    <大><太><下線>すべての富のうち
    6人が59%をもっていて
    みんあアメリカ合衆国の人です。
    74人が39%を
    20人が、たったの2%を
    分けあっています(本文より)


     恵比寿の東京都写真美術館9.11のテロの写真展を見に行ったとき、無残な写真の横にコメントが載っているのだが、それに『これが起きて何に投資したらいいんでしょうか』と言っているのだ。こんなときにもお金なのか、アメリカ社会の異常を思えたことを覚えている。



     この本のまとめにこう結んでいる。

     <太>もしもたくさんのわたし・たちが
     この村を愛することを知ったなら
     まだ間にあいます
     人びとを引き裂いている非道な力から
     この村を救えます
     きっと   (本文より)


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