セイジ
辻内 智貴
143 ★★★★☆
【セイジ】 辻内智貴 著 筑摩書房
「セイジ」
「竜二」 2編
「身近な人、親しい人が悲しみに打ちひしがれ、苦しんでいる時、
自分はどうすればよいのでしょう?無力感にさいなまれるか、他人の
事として無視するか、どこにも解決の道はありません。この小説の
『落ち』には『無茶だ』『ありえない』と批判もあるかもしれませんが、
人の苦しみを見て、それを自分の事のように共有したい、その不器用
さと一途さに、必ず胸を打たれるはずです」
(オリオン書房ノルテ店・白川浩介さん)(帯文より)
どこにもいる、何か訳ありで物静かな人が過去に背負ったものがあるのでしょうか。そんな人が[セイジ]です。社会では不器用にしか生きられないのです。人間は何の為に生きるのか、こんな事が命題として出てきます。この物語に、その答えはあるのでしょうか、多分どこかにヒントがあるかもしれませんが、わからないでしょう。何回か読み直すと出てくるかもしれませんよ。だったら、読むべし、読むべしなのだ。
「竜二」は、母を想う心、兄を想う心がしみじみと感じられる作品だ。