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    雪沼とその周辺  堀江 敏幸

    • 2005.06.30 Thursday
    • 10:58
    雪沼とその周辺
    雪沼とその周辺
    堀江 敏幸

    125 ★★★★☆
     【雪沼とその周辺】 堀江敏幸 著  新潮社
     谷崎潤一郎賞受賞 川端康成文学賞受賞 木山捷平文学賞受賞

    《堀江作品を初めて読む》

     良い読書に適した本にも2種類ある。一つは、ぐいぐいと先を読ませるものと、もう一つは、ゆったりとした気分で読ませるものとが。もちろん、この本は、あとの方でページを繰るのが大袈裟であるがもったいないほどに感じるのだ。穏やかで静かな文章であるのに確実に、主人公の人生が描かれているのだ。


     評判が良いので、一度読んでみたかった作家である。
     評判にたぐわないくらいに良かった。
     こんな文章を書く作家もいたのか、と感心させられた。


     雪沼の地域に暮らす人々が、真面目でまっとうな生活・人生が<下線>さらり、さらりとしてしっかりと書かれている。七つの章のどれをとってもゆったりとしたなかにも、主人公たちが歩んできた確かな人生が浮かんでくるようでもあるのだ。何か、日常がこんなに温かみがあり、ちょっと豊かな気持ちにさせられる作品だ。


     デッキチェアの椅子に揺られながら、ゆったりとした気分で読みたい作品である。


    パラレル  長嶋 有

    • 2005.06.28 Tuesday
    • 11:00
    パラレル
    パラレル
    長嶋 有


    124 ★★★☆☆
     【パラレル】 長嶋有 著  文藝春秋

     パラレル 平行 並行。
     
     ラブとジョブ。

     結婚と離婚。

     主人公と友人津田。

     離婚した妻から、毎日のようにくるメール、電話。

     たんたん綴られる文章、何もおきてないないような日常だが……。

    安政五年の大脱走  五十嵐 貴久

    • 2005.06.27 Monday
    • 11:02
    安政五年の大脱走
    安政五年の大脱走
    五十嵐 貴久


    123 ★★★★☆
     【安政五年の大脱走】 五十嵐貴久 著  幻冬舎

     五十嵐作品は、面白い、実に面白いのだ。

     物語を読むと引き込まれしまい、先、先と読み進んでいくのだ。
     今度の作品は、時代劇で、あの井伊直弼を題材にしている。
     井伊直弼と言えば「安政の大獄」を断行し、「桜田門外の変」で亡くなったということぐらい知らないが、この本では地位を利用するやり方は悪代官なみである。


     安政五年、井伊直弼に謀られ、津和野藩士51人と、美しく才気
     あふれる姫・美雪が脱出不可能な絖神岳山頂に幽閉された。直
     弼の要求は姫の「心」、与えられた時間は1カ月。刀を奪われ、
     逃げ道をふさがれた男たちは、穴を掘り始めた。しかし、極限
     状態での作業は困難を極め、期限は迫る。そして、ついに出口
     が見えたかと思ったが、その時……。(帯文より)


     「海からも逃げられぬ、
     山からも逃げられぬ
     ならば、土を掘れ´」(帯文より)


     姫を慕う藩士の誇りがあっという奇蹟を呼ぶ。
     この先を知るには、読むべしなのだ。

    西日の町  湯本 香樹実

    • 2005.06.26 Sunday
    • 11:03
    西日の町
    西日の町
    湯本 香樹実
      

    122 ★★★☆☆
     【西日の町】 湯本香樹実 著  文藝春秋  芥川賞候補作

     母と僕の二人暮らしにふらりとあらわれた(てこじい・祖父)。
     あまり語らない祖父の人生だが、僕は魅かれていくのだが……。

    親族には、いろんな人がいる。
     その生き方が、幼い日にはぼんやりだが輝いて見えるのだ。
     西日をいっぱいに受ける町で感じた思春期における物語だ。

    私という運命について  白石 一文

    • 2005.06.24 Friday
    • 11:05
    私という運命について
    私という運命について
    白石 一文


    121 ★★★★☆
     【私という運命について】 白石一文 著  角川書店

     『人は、ほんとうにみずからの意志で
     自分の人生を選び取ることが
     できるのだろうかー。』

     『自分にもっともふさわしい
     人生の選択肢とは、
     幸せとはー。』(帯文より)

     人間の運命は、運・不運などはどこにでも転がっている。
     人は、恋愛し、結婚するがこの人が運命の人だと思ってするのだろう。
     何人かは、強い意志で決めたはずの結婚がたいがいがこんなはずではなかったと思う。
     それは、相手であったり、家族であったり、親戚であったり、仕事だったりする。
     それが、どれもこれも運命であろう。

     主人公の女性が関係する恋愛、仕事、結婚、出産、家族、死を通して運命とは何か、人生とは何かを時代の事件を織り交ぜながら物語は進んでいく。
     
     各章が手紙をキーポイントにしている。
     その一つが一つが生きる意味の問い掛けでもある。
    あるときは、結婚相手の母親から、弟の嫁さんの、恋愛相手で怪我した娘から、夫からの手紙がそれぞれが哲学的なのである。これが私には、ポイントが高いのだ。
     
     
     物語として誰でも読めるようにして面白く、人間の愛・死を真面目に取り組んでいる作家である。

    真夜中の五分前 side-A  本多 孝好

    • 2005.06.23 Thursday
    • 12:24
    真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
    真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
    本多 孝好
      

    120 ★★★★☆

     【真夜中の五分前 sideーA】 本多孝好 著  新潮社

    《双子は、以心伝心なのだ。》

     実にすんなり読めるのが有り難い本である。

     ネタバレであるが、こんな話だ。(一部分を)
     主人公・彼が双子・一卵性双生児の姉と知り合う。
     妹には、結婚を控えた彼氏がいる。
     四人で会うことになるのだ。
     そこで意外なことを知るのだ。
     姉も妹の彼氏を見たとたんに好意を寄せていたのだ。
     双子・一卵性双生児なら、こんなことは充分に起こり得る話だ。
     姉の妹を殺してでもとの思いが、それほど主人公・彼が見ても立派な男性なのだ。
     主人公・彼は、姉とデートを重ねるのだが……。

     sideーBがどういう話なるのか、早く読みたい心境になるのだ。

     

    クライマーズ・ハイ  横山 秀夫

    • 2005.06.22 Wednesday
    • 12:27
    クライマーズ・ハイ
    クライマーズ・ハイ
    横山 秀夫


    119 ★★★★☆
     【クライマーズ・ハイ】 横山秀夫 著  文藝春秋

     クライマーズ・ハイと言うから単なる山登りの物語かと思った。
     地方新聞社に働く人たちの話。

     これは、面白い、個人的には【半落ち】より、こちらの方がはるかに面白い。
     【半落ち】の削ぎ落とされた文章より、文章に温かみもあるのだ。
     新聞社の話がリアルであり、スゴイ迫力があるのだ。
     横山さんが上毛新聞社に12年間在籍したせいだろう。

     新聞社の組織と個人、家族・親子の問題を日航ジャンポ機の御巣鷹山墜落を織り交ぜながら物語は進んでいく。新聞とは漠然とわかっていたつもりだが、この本を読むと新聞とは何だろうか、と問い詰めたくなる。新聞社に勤める人の新聞、読者としての新聞、新聞もどちらに立つかによって考え方、取り方が違ってくるのだ。新聞社の有り方がとてつもなくスゴイのだ。

     
     「俺は『新聞』を作りたいんだ。『新聞紙』を作るのはもう真っ平だ。忙しさに紛れて見えないだけだ。北関は死にかけてる。上の連中の玩具にされて腐りかけてるんだ。この投稿を握り潰したら、お前ら一生、『新聞紙』を作り続けることになるぞ」  (本文より)

    泳いで帰れ  奥田 英朗

    • 2005.06.20 Monday
    • 12:29
    泳いで帰れ
    泳いで帰れ
    奥田 英朗


    118 ★★★☆☆
     【泳いで帰れ】 奥田英朗 著  光文社

     作家の書いたアテネオリンピックの観戦記です。
     いろんな競技の観戦記があるが、もっとも力の入っているのが野球です。
     ギリシャの風土、観光、食事、ホテルなども面白く紹介されています。

     アテネオリンピック…。まだ昨年行われたのが、随分経ってしまったような気がしてしまいます。出版社とタイアップで出かけたのだろうが、直木賞は欠席してビデオにメッセージだけは残してきたと書いてありました。もっともアテネ行き予定の後に直木賞が決まったようです。

     エッセイは作家の本心が出ています。
     細かい日常が出ているからでしょうか?
     作家を知るためには読んで損の無い本です。


     奥田さんの野球に対する思い入れは、生半可ではなく相当なものです。
     【泳いで帰れ】とは、妙にピッタリする言葉です。
     予選、トーナメントとオーストラリアに負けて、かろうじて3位の銅メダルに終わったからです。奥田さんは、負け方が気に食わないのです。高校野球みたいにバンド戦法が目立ちすぎプロの集団なら、もっと堂々と戦えと嘆いています。3番の高橋がバンド、4番の城島がバンド、これは何なのと憤慨されています。キューバみたいに豪快に戦えと言っています。アメリカも予選で負け、韓国も予選で負け、勝負は厳しいのですが、日本の野球には悲壮感さえあると言っています。この本を読むと野球通なら同じ考えを持った人が多いのではと思ってしまいます。

    コイノカオリ  アンソロジー

    • 2005.06.19 Sunday
    • 12:30
    コイノカオリ
    コイノカオリ
    角田 光代, 島本 理生, 栗田 有起, 生田 紗代, 宮下 奈都, 井上 荒野


    117 ★★★☆☆
     【コイノカオリ】 角田光代 他  角川書店

     「水曜日の恋人」     角田光代
     「最後の教室」      島本理生
     「泣きつっらにハニー」  栗田有起
     「海のなかには夜」    生田紗代
     「日をつなぐ」       宮下奈都
     「犬と椎茸」        井上荒野

     6人の6作家の恋の香りとは…。
     幼い日に抱くほのかな、大胆な、繊細な『コイノカオリ』の思いとは…。

     6篇のなかでも「犬と椎茸」が心に切なく響いた。
     私の彼氏を取った友人から30年ぶりに電話が来て会った。
     『わたしの旦那と寝たことない』?
     何故、急にそんなことを言って来たのか。
     それに切ない意味があるのだが……。

     恋の香りとは、人生で1度か、何度か訪れる、恋に落ちるときなのか。

     

    あなた  乃南 アサ

    • 2005.06.17 Friday
    • 12:32
    あなた
    あなた
    乃南 アサ

    116 ★★★☆☆
     【あなた】 乃南アサ 著  新潮社

     この本を読んでいて、ある女性が会社を辞めるときに『好きな時には、好き、嫌いな時は、嫌いと言われた方がよい』、と私の同僚が昔言っていたことを思い出した。同僚が言うには、彼女の方がそう言う気があるとは思っていなかったのだ。お互いに恋愛感情がありながら、それを口には出さず付き合っていたのだ。こういうのは、現在では有りえないのではないか、昔だから有りえるのか、と思ったら、口にも態度にも分からずに一途に思うことが出来る女性も現代にもいるのだろうか。


     この本は、ホラー作品に属するのだろうか。
     一途に彼を思い込んでいるのに、あなた・彼は他の女性に関心を持ってゆく。
      彼の身に不可解なことが起こり出す、遂に彼女にも。その正体とは、意外と読んでいるとこの人かな?と思えるが、でもなんだろうかという感じで読む進んでいくことになる。
     最後の方は、こんな終わり方もありなのか、と思えるほど残酷なのだが。
     

     物語は、面白いのだが、主人公・彼が何故、こんなにもてるのだろうか、とふと思ってしまう。
     
     

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