安政五年の大脱走
五十嵐 貴久
123 ★★★★☆
【安政五年の大脱走】 五十嵐貴久 著 幻冬舎
五十嵐作品は、面白い、実に面白いのだ。
物語を読むと引き込まれしまい、先、先と読み進んでいくのだ。
今度の作品は、時代劇で、あの井伊直弼を題材にしている。
井伊直弼と言えば「安政の大獄」を断行し、「桜田門外の変」で亡くなったということぐらい知らないが、この本では地位を利用するやり方は悪代官なみである。
安政五年、井伊直弼に謀られ、津和野藩士51人と、美しく才気
あふれる姫・美雪が脱出不可能な絖神岳山頂に幽閉された。直
弼の要求は姫の「心」、与えられた時間は1カ月。刀を奪われ、
逃げ道をふさがれた男たちは、穴を掘り始めた。しかし、極限
状態での作業は困難を極め、期限は迫る。そして、ついに出口
が見えたかと思ったが、その時……。(帯文より)
「海からも逃げられぬ、
山からも逃げられぬ
ならば、土を掘れ´」(帯文より)
姫を慕う藩士の誇りがあっという奇蹟を呼ぶ。
この先を知るには、読むべしなのだ。