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    十八の夏  光原 百合

    • 2005.03.31 Thursday
    • 10:31
    十八の夏
    十八の夏
    光原 百合


     ★★★☆☆

     【十八の夏】 光原百合 著  双葉社 第55回日本推理作家協会賞受賞作

    《花がモチーフ》

     「十八の夏」
     「ささやかな奇跡」
     「兄貴の純情」
     「イノセント・デイズ」の4編。

     これがミステリーかと疑う文章・文体。
     各編に朝顔、金木犀、ヘリオトロープ、夾竹桃が重要な位置取りにおいていて、花をモチーフにしている。意識的におこなっている。
     又、各編の主人公が男性であるが、文体がやわらかくキレイな文章である。

     日常における殺意を浮かべるときは、何気ないところから生まれるか、殺意を意識しないうちに殺意が向こうから来てしまうこともあるのだ。
     ミステリーでミステリーらしくない本である。

     その一つに目が止まった。僕も最近読んでいたく感心した本の横に立ててあるそのポップには、「この本を買おうかどうか迷っておられる方に。どうぞ105ページを立ち読みしてください」と書かれていた。
     

     この文章が気にいった、こういう書店にまだ遭遇してない、どこかにありそうです。

    翼はいつまでも  川上 健一

    • 2005.03.30 Wednesday
    • 10:32
    翼はいつまでも
    翼はいつまでも
    川上 健一

     ★★★☆☆

     【翼はいつまでも】 川上健一 著  集英社  坪田譲治文学賞受賞作

    《ビートルズで若者が変わった》


     ビートルズ世代は、どのくらいの年代だろうか?
    学校の先生は、何も言わない人もいた、えらく威張っていた人もいた。
    先生もえこひいきするのが当り前の時代だった。
    そんな時代の中学生が主人公の話です。
     
     ビートルズの『プリーズ・プリーズ・ミー』の曲をラジオの米軍放送で聞き、衝撃を受ける。この曲が主人公に一歩前に出る勇気を与えてくれる。野球部の玉拾いから、レギュラーになり、先生の不条理にも対抗する力をもらった。

     甘く?切ない青春時代、けっしてスマートではないが、やはりそこにはほろ苦い思い出が一杯詰まっていた。あの十和田湖のひと夏は、僕を一回りも二回りも大きくしてくれた。斉藤多恵、杉本夏子、同級生のみんなよ、ありがとう、ありがとう、ありがとうと連呼で。そんな声が聞こえてきそうな物語です。


    水の繭  大島 真寿美

    • 2005.03.29 Tuesday
    • 10:34
    水の繭
    水の繭
    大島 真寿美
     

     ★★☆☆☆

     【水の繭】 大島真寿美 著  角川書店

    《不思議な人たち》

     大島さんの作品を読むのは、2つ目である。
     こういう文体・文章を透明感?というのだろうか。

     家出をくり返す従兄妹の瑠璃、子供を亡くした遊子さん、親の離婚で別れた双子の陸。
     主人公は、双子の片割れのとうこさん、父親が亡くなりこころのなかをどう埋めていくのか。ふんわりとして、たんたんと進む、最後のシーンにはほのぼのとしたものがあり、大島ペースに引き込まれていってしまう作品だ。

    卒業  重松 清

    • 2005.03.28 Monday
    • 10:35
    卒業
    卒業
    重松 清


     ★★★★☆

     【卒業】 重松清 著   新潮社
     《まゆみのマーチ》

     重松作品は、体に良くない。

     最初のじんわりから最後に熱い感情が込み上げてきてどうしょうもなくなるからだ。今日も静かなカフェで読んで目頭に涙が溜まってしようがなかった。隣りのテーブルで勉学に励んでいた女性が私の方を見て怪訝な顔をしていた。

     この物語に出てくるようなことを一杯知っているので読むのが辛かった。この息子みたいに1クラス上のランクの学校に進学したばかりに、精神的におかしくなった人がいた。真面目で何事も真摯に取り組んでいた良い奴だったのにと昔を振り返り思うことがある。

     妹の存在が家族にどう影響したのか?
     母の妹を思う気持ちは、……。
     幼いときの自分は妹に対しての気持ちの持ち方は、良かったのだろうかと。
     今、息子に接する態度に一抹の光明が……。

     《あおげば尊し》

     親父(教師)の死が見事に描かれている。
     
     《あおげば尊し》がどこで出てくるのかと思ったが、うーんと唸らせる演出である。教師というのは、どんな職業なのかかがわかる。現在の教師像と昔の教師像の違いもわかる。それと現在の子供たちの死についての考え方である。

     私も10歳くらいまでに父、お祖父、お祖母が亡くなり、死・命というのが子供心に重く圧し掛かっている。死の恐怖がいつも付きまとっているような気がする。
     3年前、義兄が亡くなり、小学生の孫が焼き場から出た骨を骨壷に入れてる姿を見たときにどんな気持ちでいるのかと考えた時に尊い時間を得てるのでは、と思った。人間が骨になるのは、私もその時初めて経験したが、何か妙に不思議な時間で精神的におかしくなった。ひとりの体が灰と骨になる。生まれたからには日々を精一杯に過ごすことが一番なのだろう。

     《卒業》

     重松さんの作品は、主人公の世代の男性がちょっとだらしなく真面目である。今回は40歳の課長代理である。友人の子供が訪ねてくる。その友人はこの子供が奥さんのお腹にいたときに自殺していたのだ。その子供に親父の生き様をネットに書き込んで、子供の卒業と自分自身の卒業もなぞられているのだろうか。

     重松作品は、家族のあり方を取り上げているものが多い。家族のなかの、父と母、父と子供、母と子供との関係、昔と今と。家族は歴史や環境によって随分違ってきているが、そのなかに流れている情愛・絆は変わらないと思う。そういう印象だが、どうだろうか。

     《追伸》

      誰かの読書感で重松作品は、しぜんと主人公や物語に感情移入が出来るみたいなことが載っていたが、まさしくその通りだと思う。人間でもっとも身近な家族のことを書いているからだろうか。それが身内の死を取り上げているから尚更である。いつまで経っても逃れられない家族の中の死がとき離れない。それを家族が共有して前向きな気持ちで進んで行くしかないのかも……。

      この物語は、主人公の母が亡くなり、父が再婚した女性との確執がメインです。年を取ってからしかお互いを理解しあえないもどかしさが紙面から十分伝わってきます。実母を思う主人公の気持ち、継母の気持ち、仲を取り持つ父の気持ちがわかりすぎるのです。年齢を重ねるということは、哀しいことでもあります。今までの感情を全部を胸のうちに取り込めなくてはならないのですから。亡くなった母の手紙を題材にして、継母とのやりとりが《追伸》となった形で終わります。

      良い作品は困ります、午後の仕事に戻るまで時間(平静な気持ちになるまでのこと)がかかるからです。

    1ポンドの悲しみ  石田 衣良

    • 2005.03.24 Thursday
    • 10:37
    1ポンドの悲しみ
    1ポンドの悲しみ
    石田 衣良


     ★★★☆☆

     【1ポンドの悲しみ】 石田衣良 著   集英社

    《書店でデート》

     【スローグッドバイ】が20代の恋愛を扱った作品で【1ポンドの悲しみ】は、30代前半の恋愛をメインにした作品である。30代は、20代の恋愛感と違った感じが出ていて、ちょっとの年齢で考え方も変わるものだと思った。こんども10篇の恋愛を綴ってある。50ページくらいのもので時間的には丁度良く、さらりと読めるのもいい。

     「デートは本屋で」という章があった。
     本好きな女性の物語である。
    本好きな彼を見つけ、新宿の大型書店でデートするという話である。両方が本好きな方がカップルとしては、良いのだろうか?男性の方がバツイチで、別れた理由というのが奥さんが外に出たがるのに対して男性は、室内で本を読んでいるのが好きというカップルで女性から本と一緒になればと言われてしまったのだ。カップルは、本好きにも加減が必要だろうが、本好きな方が良いのだろうと思う。

     東京駅の近くに《八重洲ブックセンター》というのがある。そこの外壁面か、入り口にかに、(書店でウォーキングしませんか)みたいなことが書いてある。地下1階から7,8階までじっくり歩くのも悪くないと考えているが、東京駅で降りるときは仕事関係のことが多く、まだ実行する機会がない。雑誌から専門書など半日かけて見るのも案外良い運動になるのかも知れないとお腹の肉をつまんでみるのだ。

    カラフル  森 絵都

    • 2005.03.23 Wednesday
    • 10:38
    カラフル
    カラフル
    森 絵都


     ★★★★☆

     【カラフル】 森絵都 著  理論社

    《意識変革》

     この本は、実におもしろいと言うのが素直な感想である。

     児童文学賞を取っている人の作品であるけれど、児童もそうだけど大人が読んでも感動に浸れる。いいかげんな天使にガイドされていく家庭には、何か釈然としない空気に満ち溢れていた。輪廻のサイクルに復帰すべく、ホームスティに向かうのだが……。

     他人としての意識で見る眼、感じる心は、不思議と家族やクラスメイトや教師を素直に凝視することが出来るのだ。最後には、家族の繋がり、友人を思う感情が胸に響いてくる。多感な中学生が、悩めを何かで自分自身を取り戻していくには…。
     この本で人生を変えることは出来ないが大いにプラス思考になる要素を含んでいて、子供たちに読んで欲しい本である。

    編集者T君の謎  大崎 善生

    • 2005.03.21 Monday
    • 10:40
    編集者T君の謎―将棋業界のゆかいな人びと
    編集者T君の謎―将棋業界のゆかいな人びと
    大崎 善生


     ★★★☆☆

     【編集者T君の謎】 大崎善生 著  講談社

     「週間現代」に連載されていたコラムの本です。
     
     将棋界に関わってきた筆者が将棋界を辞めて「週間現代」に将棋のコラムを書いたものです。これを書いて、「聖の青春」「将棋の子」「パイロットフィシュ」に繋がるのです。その後は、話題の作品が続いています。

     将棋の世界は、職業の中で一番過酷だと思います。羽生、森内と1億円のトイトル料で突破しましたが、常に天才と言われる人が現れるから大変なのです。この本は将棋界の勝負に生きる人たちを、あるときは厳しく、あるときはユーモラスに描いています。

    もしも私が、そこにいるならば  片山 恭一

    • 2005.03.19 Saturday
    • 10:43
    もしも私が、そこにいるならば
    もしも私が、そこにいるならば
    片山 恭一


     ★★☆☆☆

     【もしも私が、そこにいるならば】 片山恭一 著  小学館

    《死の追想》

     「もしも私が、そこにいるならば」
     「鳥は死を名づけない」
     「九月の海で泳ぐには」
     
     上の3編の短編からなっている。
     どれもが片山節になっている。
     死の持つ意味合い・印象を巧く書いてある。
     母の死と恋と、病院で会った人の死と恋と、教師である自分に何かが?。
     『一瞬のような一生。一生のような一瞬』

    リトル・バイ・リトル  島本 理生

    • 2005.03.19 Saturday
    • 10:10
    リトル・バイ・リトル
    リトル・バイ・リトル
    島本 理生


     ★★★☆☆

     【リトル・バイ・リトル】 島本理生 著  講談社  芥川賞候補作

    《少しずつ、少しずつ》

     【シルエット】を読んで、これを読むと何かがちょっと違う感じである。本人があとがきに書いてあるように。「明るい小説にしようと、最初から最後までそれだけを考えていた。淡々と流れていく日々を照らす光を書きたかった。」
     
     橘ふみという20歳の女性が少しずつあるが前向きな姿勢で過ごす日々が描かれている。母、年の離れた妹との三人家族にも暗さがない。複雑な家庭環境、今どきの世の中、そこに対抗するのは、笑うことだと言う。知人の死、モルモットの死などが現実的に起きるがその一つ一つが生きている証であり、生活の証でもある。

    泣かない女はいない  長嶋 有

    • 2005.03.18 Friday
    • 11:13
    泣かない女はいない
    泣かない女はいない
    長嶋 有


     ★★★☆☆

     【泣かない女はいない】 長嶋有 著   河出書房新社

    《物流基地と女》

     物流基地・センターに勤務しだした女性の物語である。物流センターがこの作品に重要な部分かなのかどうかわからないが、今どきの事情を含んでいるようだ。

     仕事柄、物流センターを眼にすることがある。
     東京の郊外に溢れて建っている。成田空港の周り、羽田空港の周り、武蔵野線周りが多いのだろうか。生活に必要なところを補う前線基地に送り出すところであろうか。
     あるでかいセンターでは、デイズニーのミッキーマウスが一杯に積み上げられていたり、冷凍倉庫では、バレンタイン用のチョコレートが何ヶ月前から大量に置かれたりしている。車の部品、用紙、食品類などだ。そこでは、何台ものフォークリフトが世話しなく動いている。
     この本を読んでいると、その建物の情景が浮んで、何故か懐かしい感じがした。

     この本には、カバーにもある仕掛けがしてある。取って見るべし…かな?

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