身がわり―母・有吉佐和子との日日
有吉 玉青
【身がわり 母・有吉佐和子との日日】 有吉玉青 著 新潮社
《有名人を持つと》
大体、人がどんな本を読んでいるのかが興味が
ある。【20代に読みたい名作】林真理子著を読んで
みた。54作を上げている。【放浪記】【おはん】【斜陽】
【ノルウェイの森】【思い出トランプ】【キッチン】【細雪】
【火車】【恋】などなどである。その中に、この本が
あった。普通なら【恍惚の人】【紀ノ川】という、有吉
佐和子さんの方がでているはずが、あえて娘さんが
書いた、この本をあげている。そのほうがかえって
作家・有吉佐和子がわかるのだろうか。
【身がわり 母・有吉佐和子との日日】は、大作家を
母に持つための悩み、うれしさ、わずらわしさが出て
いる。母親・佐和子の好奇心や行動力には、さすが
作家なのかと驚かさせられる。母親・佐和子の急死
のあとでわかる、この母の側にいたのが貴重なとき
だということが書かれている。
娘の身にあまる贈物をのこして、母は突然、
逝った。大いなる個性、過激な母性に対峙
する娘として過した二十年、その殆どを母に
抗い続けることで自己を確立しようとした日
日は、音をたてて崩れ落ちた。あれから四
年半、 己が身にかえてのこした母の贈物
の意味を考える娘にやっと一筋の光が射し
てきた……。
鮮烈な、母と娘の物語。(帯文より)
また、林真理子さんも【20代に読みたい名作】
の最後に、こう書いている。
この本の中にはこんな言葉がある。
「She´s survived by her daughter.」
彼女(作家)は娘によって生き長らえるという
意味である。もしかすると、七年前初めてこの
本を読んだ時に、私は絶対に娘を持とうと決心
したのかもしれない。 (本文より)