ミルキー
林 真理子
【ミルキー】 林真理子 著 講談社
《名前》
短編集である。
「鈴木君のこと」
高校生のときにちょっとひょうきんな男(鈴木君)が
医者になったのだ。主人公は高校生のときに2,3回
デートしたぐらいで気にとめていなかった。40歳に
なって医者になって会うことになる。風貌は昔のままだが
、中年になって身なりもそんなに変わっていなかった。
ただ、どの店に行っても『先生、先生』と言われて、高級
ワインを飲んでいる。昔のまま恋人だったら奥さんに
なっていたかもと思ってしまうのである。聞けば、2流大学
の経済学部に行ったが親父の入院で医者の姿に魅了され
奮起して辛うじて新設の公立大の医学部に受かったのだ。
主人公もまん丸のオバサンになっていたが、昔は君の
ことが好きだったと言われ、不倫に走るのだ。主人公が
言う『不倫は庶民でも出来るんだ』。結局、男との連絡が
無くなり、肝硬炎になって入院したのだ。『ああ、奥さんで
なくて良かった』と言うのである。あらすじは大体そんなよう
なことである。
物語は面白いのだが、あえて言うならひょうきんなだけで
女にもてない名前が日本で一番多い鈴木君にしていると
いうことに全国の鈴木さんは怒らないのだろうか。