キッチン
吉本 ばなな
【キッチン】 よしもとばなな 著
《小説の最初》
このところ、本ばかり読んで過ごしている。
こんなに読書人間になる生活も悪くない気がする。会社の昼休みは応接室でテーブルに足を投げ出し、お尻をソファに深くおろし、特等席で読んでいる。夜はベッドで体全体を伸ばし、首を高くし枕につけて、テレビをBGMにして読んでいる。
インターネットで本の解説を読むとそれをメモして、本屋に行き買って読んでいる。解説はいいことばかり書いているが、読まずにいられないのだ。だが、現実は気にいったものを読むようになる。ひとりの作家が気になれば、一冊読んでおもしろければ、何冊もその作家を読み続けることが多い。
そんな訳で、今週は吉本ばなな著【白河夜船】【キッチン】【TUGUMI】を読んだ。
1988年に書かれているが、今読んでも、文章の言葉が生きているように感じる。若い女性の視点での描写が鮮やかな感じで生と死が書かれている。それと最初の出だしが上手い。
【キッチン】は『私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。』
【TUGUMI】は『確かにつぐみは、いやな女の子だった。』
【うたかた】は『嵐とは1回キスしただけだ。』
【サンクチュアリ】は『春先に、妙な出来事があった。』
というように、1行で書いてある。これで内容が『ウム・・・ウム・・・』として、最初の文章が読む意識をかもし出してくれるのである。
【うたかた・サンクチュアリ】を現在読んでいるのだ。