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    ボディ・レンタル  佐藤 亜有子

    • 2003.09.25 Thursday
    • 23:44
    ボディ・レンタル
    ボディ・レンタル
    佐藤 亜有子


    【ボディ・レンタル】 佐藤亜有子 著

    出だしの部分は
    『 暗いテーブルの下で、トイレの前で、エレベーターの片隅で、わたしは男に一枚のカードを渡す。
    ―――――――ボディ・レンタル?
     白くて、無機的で、何の光沢も持たないカード。そこに記されているのはボディ・レンタルの文字と、ハイフンでつながれた数字の羅列。ある男には、それは何の意味も持たない。ある男には、それが謎になり、妄想になり、悪魔を解き放つ鍵になる。
     無機的なカードの意味を知る男の目には、目の前に立つわたしがひとりの女に、ひとつのやわらかい物質に見えてくる。たとえば、ある種の目的に作られた人形のように。 
     彼らは部分を組み替え、切り離し、こね上げて、自分の目的にかなった玩具を作る。唇だけでもいい。細い指先でも、足の裏のくぼみでも、性器だけでもいい。わたしはその材料を提供する、ひとつの無形の物質である。そのメッセージを受け取った男の視線だけが、わたしの唇から首筋へ、胸元へ下りていく。
    ――――――何のことだか、知りたい?
     男の視線が粘りけを帯びる。腰の線から、ぴったりしたミニスカートの下の、陰の部分へ。わたしは片方の腿をゆっくり持ち上げる。
    ――――――だったら、この番号にかけてみて。たっぷり教えてあげる。
     そして男の腿の付け根、微妙な部分に手をかけて、そっと握り締める。これでレンタル契約は七割がた成立だ。
     わたしのからだは誰のものでない。だったら、誰に貸し与えたっていいわけだ。 』
     (本文より)
     普通の女子大生?の日常とボディ・レンタルの部分との物語で日常とボディ・レンタルの対比の物語でもある。ボディ・レンタルは売春行為とはちょっとちがった意味あいで語られているようだ。ボディ・レンタルは愛情をもったら成立しないと書かれている。あくまでもボディ・レンタルなのである。
    お客は社長より会長といった人が相手として登場してくる。行為の数々が記されていて、こんなのを20代の女性が書ける描写かなと感心させられる。
     行為の一つに会長職の70歳すぎの要求は若い女性を枕にして寝ることであるが、体が硬くても、柔らかすぎてもよくない、程よいやわらかさであることだ。他にも一杯に遊び方が出ているので興味のある方は【ボディ・レンタル】を読んでみて下さい。

    離婚まで  藤本 ひとみ

    • 2003.09.03 Wednesday
    • 23:37
    離婚まで
    離婚まで
    藤本 ひとみ

    【離婚まで】 藤本ひとみ 著

    《結婚とは? 》

    この結婚が本当なのか、問いただしていく話(自問自答)である。自叙伝的と帯にうたってあるので現実感がある。同窓会に帰郷して、初恋のひとに会い、離婚を決意するまでの話である。結婚は単に母親との確執のためか、家族のいない距離にいたかったためか、なんで無気力な男を選んだのか、なぜその男の両親に尽くさなければならないのか、いままでの結婚生活がどうだったのか?何十年ぶりの帰郷に合せて考えるのである。
     夫の幼稚さが出ている部分を紹介してみる。
    『 加奈子は、トマトやオレンジを四つに切る。家族は四人であるから、一人一切れになるのは、あたりまえである。ところが夫が先に、自分のほしいだけ取ってしまうのだった。他の料理に関しても同様である。加奈子にしてみれば、育ち盛りの娘にこそ、豊富にたべさせたい。ところが娘たちが食卓に向かう時は、すでに夫が食べ荒した後なのだった。
     買い置きをしておいた苺パックを冷蔵庫から出してみると、かなり傷んでいたことがあった。満足に食べられそうなものを選んで洗い、数えたら、六粒しかなかった。加奈子は、子供たちが二つ,大人が一つずつ食べればよいと思った。あるいは、夫に二つやってもよい。ところが娘たちがやって来た時には、すでに二粒しか残っていなかった。下の娘がうらめしそうに言った。
     「私、いらない。だって私が食べたら、ママの分がなくなっちゃうもん」
     上の娘は、すでに食事を終えてテレビの前に移動していた父親をにらんだ。
     「パパが食べちゃったんでしょ」
     夫は不服そうな顔でふり返った。
     「四つしか、食べてない」
     もっと食べたいところを遠慮したと言いたかったのであろう。家族全体のことに考えがおよばない夫は、確かに我慢をしたのである。全部食べたかったのに、四つで我慢をしたのだった。
     (本文より)

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