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    M/世界の、憂鬱な先端  吉岡 忍

    • 2003.04.10 Thursday
    • 22:41
    M/世界の、憂鬱な先端
    M/世界の、憂鬱な先端
    吉岡 忍

    【M 世界の、憂鬱な先端】 吉岡忍 著

    [さあ、ゲームの始まりだ!]
    21世紀はどこへ向かって進んでいくのだろうか。

    『 一九九七年四月十四日、月曜日、正確に午前十時。東京地方裁判所一〇四号法廷――
    裁判長の声は硬かった。低くも、かん高くも聞こえる硬い声が、正面の一段高い裁判長席から響いた。
    「主文・・・・被告人を死刑に処する」
    被告人宮崎勤は身じろぎもしなかった。じっと聞き入っているというのでもなく、ぼ―っとしているでもなかった。彼はただそこにいた。そこに突っ立っていた。東京地裁でもっとも拾い法廷のまんなか、ぽっかりあいたリノリウムの床の上に。
    くすんだ紺色の、きつそうな背広上下。アイロンはもう何年も当ててないらしく、ズボンの線は消えている。白いポロシャツの襟首からのぞく白い肌にはつやがない。顔にも、
    寝て起きたばかりのように表情がなかった。そう感じたのは、いつもより短くした後頭部の髪の毛に寝癖が残り、乱れていたせいかもしれない。』

    宮崎勤、少女四人を誘拐し殺害した、十年をかけて人間精神を追いかけた記録である。

    『彼が裁判について、折々に言ったことがある
    「映画館にいるように思った」
    どうして
    「天井がたかいから」
    ほかには?
    「広そう」
    裁判とは思わない?
    「うん」
    なぜ?
    「役場で事務的なことが長引いてると思った」
    なにか書いていたでしょう?
    「あっ、絵、描いていたから」
    どんな絵を?
    「積み木やマツバツや図形や怪獣の絵」
    そのあと、どうした?
    「終わって、バスでドライブして帰った」
    拘置所へ?
    「テレビで見た下宿みたいな感じ」
    今後、どうしたい?
    「住宅情報誌買って、あまり人のこないところに住む。人がこないところで、一人で暮らす。プレハブ、自分で作る。」
    宮崎には、法廷に立たされている、裁かれている、ということがわかっていないのではないか。この七年間、この日で三十八回目になる裁判のあいだ、ずっとそうだった。傍聴席から見ているかぎり、彼はまるで抜け殻だった。』(本文より)

    魚が見た夢  柳 美里

    • 2003.04.05 Saturday
    • 22:38
    魚が見た夢
    魚が見た夢
    柳 美里

    【魚が見た夢】 柳美里 著

    《柳 美里さんに見る人生は》

    久し振りに柳美里さんのエッセイを読んでみた。
    やっぱり、また強烈に僕の頭の中がくらくらしたのを感じた。『 夕暮れ時
      ……・・…
      「人間なんて十六から二十三までの年がなきゃあいいんだ。でなきゃあ、その年のあいだは眠ってりゃあいいんだ。」これはシェイクスピアの『冬物語』の中の羊飼いが吐く台詞。
    十歳のときこの台詞を発見し、まったくその通りだ、と思ったものだが、私は今年の六月には二十五になってしまう。こうなるといっそのこと、五十くらいまで眠っていたいなと思ったりする。
     中学校のころから私が眠りたくなるのは、いつも太陽が引き潮のように窓の外を横切ってゆく夕暮れ時だった。
     夕暮れ時に体を横にすると、なぜか過去のひどい出来事ばかりがパレードのように頭の中を通り過ぎ、私は誰もいない部屋で顔を歪め小さな叫び声をあげる。・・……』(本文より)

    10歳でシェイクスピアとは驚きである。
    僕が10歳のときは、漫画の本しか読んでいなかったような気がする。
    眠りで体がリフレッシュするのはともかく、悩めもすべて解決されていればと近頃は特にそんなふうに思ってしまうのです。

    南極のペンギン  高倉 健, 唐仁原 教久

    • 2003.04.03 Thursday
    • 22:36
    南極のペンギン
    南極のペンギン
    高倉 健, 唐仁原 教久

    【南極のペンギン】 高倉健 著

    高倉 健さんは、優しさにあふれている人だと思う。

    ある人から、ウソでもMonngaさんは高倉健さんの横顔が似ていると言われると、ほんのちょっと健さんを意識してしまうことがある。映画は任侠物の時代しか見ていないが、直に見る機会があるだろう。そういう訳で今回はこんな本を読んで見た。

    【南極のペンギン】 高倉 健 著を読んで見た。
    10篇からなるエッセイであり、大人の絵本のような本である。
    唐仁原 教久さんのイラストがまた楽しく、懐かしい。
    イラストがふんだんにページに盛り込んであり、画が美しく、健さんの文章にマッチしている。


    『 北極のインド人
    ――― ぼくはなんとなく不安だった。
    どうして、南国生まれのインド人が、わざわざこんな寒い北極に住んでいるのだろう。ふしぎに思って、その理由をたずねた。
    ベーゼルさんという名前だった。十八歳のとき西ドイツの大学に行き、電気技師になってカナダに就職した。その仕事の関係で北極にも行かされた。なんとか北極をたずねるうち、雪と氷のこの世界が大好きになった。
    「ここに住むと、人間を信じることができる」
    ベーゼルさんはそう思った。
    北極の自然はきびしい。みんなが力をあわせないと生きていけない。この土地には警察もないし、家にカギをかける習慣もない。テレビも電子レンジもないが、たいていみんな無線は持っている。どんなにいそがしくても夜中でも、無線が鳴ると飛んででる。命にかかわる連絡が多いためだ。おたがいを信じあい、助けあいながら暮らしている。
    そんな生き方にひかれて、ベーゼルさんはカナダ人の奥さんとふたり北極に移り住んだ。そして、探検家を泊める小屋をつくり、北極を案内する仕事をはじめた。―――』(本文より)

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