向田邦子と昭和の東京 (新潮新書)
川本 三郎
09−049 ★★★☆☆
【向田邦子と昭和の東京】 川本三郎 著 新潮選書
《向田邦子という生き方もわかる…》
内容(「BOOK」データベースより)
敗戦から昭和三十年代にかけて、急速な経済成長の中で失われた様ざまな習慣、やさしく奥深い言葉の数々、変わりゆく家族のかたち、東京の町並…それらをいとおしみ、表現し、そして体現し続けた向田邦子。様変わりした現代において、今なお高い人気を誇る作品群をひもとき、早世の天才作家が大切に守り続けたものとは何かをつづる。
カバーの折り返し
敗戦から昭和三十年代にかけて、急速な経済成長の中で失われた様ざまな習慣、やさしく奥深い言葉の数々、変わりゆく家族のかたち、東京の町並----それらをいとおしみ、表現し、そして体現し続けた向田邦子。様変わりした現代において、今なお高い人気を誇る作品群をひもとき、早世の天才作家が大切に守り続けたものとは何かをつづる。
昭和が去り、平成の世もすでに二十年も数えるに至った。誰もが感じているように、平成になって、われわれの暮しから論理が失われるようになった。平たくいえば、なんでもありの荒んだ世の中になってしまった。そんな時代になればなるほど「昭和の子」向田邦子さんの世界が懐かしく、大事に思えてくる… 「あとがき」より
向田邦子が生きていれば、今年八十歳だという。もうそんな年になるんだ。飛行機の事故を聞いたとき、『エー、なんで』という思いがあった。この本は、向田邦子満載の本だ。あとがきにも書いてあるが、向田と言えば昭和の香りが色濃い作家だ。向田邦子の本を何冊か読んでいる、それから何年前から久世光彦の本も読んでいると、ここにも向田邦子のことが一杯に載っている。それよりもテレビ・『寺内貫太郎一家』などを通じて知っていることの方が大きい。向田邦子の本は、昭和の家族、父の威厳、などなど。向田邦子は、言葉に独特な使い方をしていた。それは昭和の言葉なのだ。
今は便利過ぎて、豊かすぎて、身動きが取れなくなっているような気がします。
わたしは、貧しいけれど明るい気持ちを持てた「昭和」に育つことができたことに感謝しています。
向田さんの文章の中にはそんな昭和が生きていて、ホッとしてしまうんですよね。
最近、昭和というのが、もう随分遠くにいってしまったように感じています。
<>わたしは、貧しいけれど明るい気持ちを持てた「昭和」に育つことができたことに感謝しています。<>
まったく、同じ気持ちです。
生きているということに実感がありました。
向田さんの言葉には、昭和が満載です。