都市の感受性
川本 三郎
07−263 ★★★☆☆
【都市の感受性】 川本 三郎 著 ちくま文庫
《都市の持つイメージが…》
内容(「BOOK」データベースより)
小説の村上春樹、映画の森田芳光、演劇の野田秀樹、マンガの大友克洋…彼ら若い作家たちの作品に浮上してきたものに共通するのは、「都市の感受性」とでも呼ぶべき新しい感覚なのではないか。従来の「主体性」の神話や「リアリズム」の信仰が崩れたあとにくる浮遊的な人間像を論じ、「現代」について考える。
久しぶりに村上春樹の小説に対する論評を読んだ。『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『中国行きのスロウ・ボート』『羊をめぐる冒険』が、都市の関連性があるなど思っても見なかった、が、この本を読むと肯けるのだ。
村上春樹は、断片化した都市の日常生活をむしろ「気分がいい」と受け入れてしまっている。(本文より)土着性でなく都会的な文章なのだ。村上春樹の部分だけでも読み価値があるのでは、…。