生きる歓び
橋本 治
【生きる歓び】 橋本 治 著
《生きる歓びのヒントは?》
九つの生きる歓びと哀しみが書いてある。
みかん……自分には物語が足りないことに気づくOL
ひまん……入社して三年。最近、太り始めたことに気づく青年
《みかん》は『オレンジになれないみかん』と呟いてしまう
OLの話。
同僚のかもめちゃんが言う。「つまらないことを
考えない方がいいよ」「そうだね」と答える。
OLはオレンジじゃない。OLは初めから、オレンジになれ
ないみかんなんだ。すくなくとも、それだけがわかった
ような気がした。分かっていて、それをどう扱えばいい
のか分からなかった。
哀しいことだが、ここが分かることがいいことなのか、
ひょっとすればオレンジにもなれるがオレンジにも
哀しいことがあるような気がする。
《ひまん》ヘルスメーターを取り扱う商社に入った青年の話。
体重が8キロ太ってしまった青年がこんなことでいいのかと
疑問をもつ。
ヘルスメーターをもっと売りたいと思うが、一家に1台あれば
良いのだからと会社は考えていて、こんなことでと青年は
思うのだが。