阿弥陀堂だより
南木 佳士
105 ★★★★★
【阿弥陀堂だより】 南木佳士 著 文藝春秋
映画での【阿弥陀堂だより】を見たときに原作は、どんな感じな本なのか、興味があった。東京に住んでいた、心病んだ女医(妻)と1冊だけ出している売れない作家(夫)が、夫の故郷・信州に来て人間生活の張り合いを取り戻す内容だ。
たんたんした文章であるが、引きつられていくのだ。映画では、故郷に帰るところから始まるが、本では夫の幼いころからのこと、高校で二人が出会い結婚して、どうして妻が病気になったのかも書いてある。故郷に帰ってからは、映画を見ているので映画のシーンが思い出されて読んでいった。
阿弥陀堂の堂守として住む96歳のおうめばあさんを通して、大自然に生きる姿を通して、人間の生きるとはと言う意味を考えさせられるのだ。阿弥陀堂と言ってもたいした造りではなく、小便、大便も脇の畑でしているのだ。
映画では、寺尾聡、樋口可南子、もっとも重要なおうめばあさんを北林谷栄さんが演じている。信州の美しい風景も見逃せない映画である。
田舎にある癒しというか、本来の人間生活があるのなら、何故人は、都会に向かっていくのだろうか。その答えがこの本にはあるような気がしてならないのだが、どうだろうか。都会疲れの諸君たちに是非読んでみてもらいたい。