あなた
乃南 アサ
116 ★★★☆☆
【あなた】 乃南アサ 著 新潮社
この本を読んでいて、ある女性が会社を辞めるときに『好きな時には、好き、嫌いな時は、嫌いと言われた方がよい』、と私の同僚が昔言っていたことを思い出した。同僚が言うには、彼女の方がそう言う気があるとは思っていなかったのだ。お互いに恋愛感情がありながら、それを口には出さず付き合っていたのだ。こういうのは、現在では有りえないのではないか、昔だから有りえるのか、と思ったら、口にも態度にも分からずに一途に思うことが出来る女性も現代にもいるのだろうか。
この本は、ホラー作品に属するのだろうか。
一途に彼を思い込んでいるのに、あなた・彼は他の女性に関心を持ってゆく。
彼の身に不可解なことが起こり出す、遂に彼女にも。その正体とは、意外と読んでいるとこの人かな?と思えるが、でもなんだろうかという感じで読む進んでいくことになる。
最後の方は、こんな終わり方もありなのか、と思えるほど残酷なのだが。
物語は、面白いのだが、主人公・彼が何故、こんなにもてるのだろうか、とふと思ってしまう。