ガール ミーツ ボーイ
野中 柊
210 ★★★☆☆
【ガール ミーツ ボーイ】 野中柊 著 新潮社
6歳の息子・太郎と二人暮らし。主人公・美世は、社会人6ヶ月目で妊娠、25歳のときに身ごもった。相手は、合コンで知り合った、5歳上の証券マン。太郎、4歳のとき父親が失踪する。だから、息子と二人暮らしなのだ。
ここまではよいのだが、美世は今では、こう述懐しているのだ。『今思えば、どうして彼を好きになったのだろう。いや、本当に恋愛感情を抱いていたのだろうかどうかさえ定かではない。正直なところ、あの頃のことはよく憶えていないのだ。まるで記憶喪失みたいに、ぽっかりと当時の感情が忘れ去られてしまっちる。とはいえ、結婚までしたのだから憎からず思ってはいたのだろう。』
おい、おい、なんじゃそれはと私は、言いたいのだ。自分の人生だから結果はどうでもよいのだが、子供がかわいそうになのだ。勢いで結婚しても、末永く続く結婚もあるだろうが、現代の状況は、こんな結婚も多いのではと思って、息子の為に私は、怒っているのだ。
夏休みに、息子を連れて美世の田舎の実家に帰り、息子を夏休み中、預けておこうとするのだが、美世とともに帰ってきてしまう。母と二人の生活で母がいなくなるのでは思いが、息子にあるのだ。息子にとって両親は、絶対必要なのだ。よく息子のことが書けていると私は思うのだ。
この作品は、事件らしい事件はなく、息子との日常が書かれているが、案外オクは深いのかも知れない。