タンノイのエジンバラ
長嶋 有
262 ★★★☆☆
【タンノイのエジンバラ】 長嶋 有 著 文藝春秋
《長嶋有という作家は、読むと何か温かい気がする》
内容(「BOOK」データベースより)
隣家の女の子を押しつけられたり、実家の金庫を盗みに行くはめになったり。人生には、そんな日がめぐってくるのだ。話題の芥川賞作家、待望の最新短篇集。
「タンノイのエジンバラ」「夜のあぐら」「バルセロナの印象」「三十歳」4編。
「タンノイのエジンバラ」
知人と会うからと隣家の女性から女の子を預かったと言うより押し付けられた。失業保険で生活している主人公と小学生との奇妙な生活が始まった。一晩の交歓で二人の関係は、…。
「夜のあぐら」
姉、弟、主人公・妹と父の愛人の確執を描いている。三人の性格が上手く現れている。
夜のあぐらか、これは読んでのお楽しみだ。
「バルセロナの印象」
半年前に離婚した姉を励ますために、半年前に結婚した主人公と妻とが三人でバルセロナを旅する話。三人の感情・表情が読み取れるような作品だ。
「三十歳」
<秋子はグランドピアノの下で寝ている。>で始まる話は、ピアノ講師を辞めてパチンコ景品係りで働きだした秋子とそこで働く若い人たちの日常を描いた作品だ。題名は、グランドピアノでは、と思うのだが。最後は読んでいてじんわりと切なくなってきた。
長嶋さんの作品は、優しい文体が読んでいて直ぐに感情移入が持てる。何気ない日常、何気ない会話を独特な視点で書かれている。