生きいそぎ
志水 辰夫
25 ★★★☆☆
【生きいそぎ】 志水辰夫 著 集英社
《主人公達は、何故、皆生きいそぎになるんだろうか》
老境に差し掛かって、ふと人生を振り返ってみると、さまざま想いが甦ってくる。初老の男性を主人公にした8編の短編集である。
「人形の家」
「五十回忌」
「こういう話」
「うつせみなれば」
「燐火」
「逃げ水」
「曼珠沙華」
「赤い記憶」 8編
「赤い記憶」は、退職して2年目、物忘れがひどくなりこの頃である主人公が息子に母親が亡くなったのは焼死だいう事を話すのだ。そこには、人生を省みるときに胸にしまって置いたものだが、もう人生に疲れてきたときに吐き出してしまうのだ。志水節?がさえる。
最後の終わり方が、ドキッとする余韻が何とも良い。