ぼくは悪党になりたい
笹生 陽子
★★★☆☆
【ぼくは悪党になりたい】 笹生陽子 著 角川書店
僕の名前は兎丸エイジ、17歳。父親不在、奔放な母親と腕白な異父弟・ヒロトとの3人で平凡な生活を送ってる。毎日炊事、洗濯、ゴミ捨てと家事全般をこなす高校生が「平凡」かどうかは我ながら疑問なんだけど。ある日弟のヒロトが病気で倒れたのをきっかけに、僕の「平凡」な日常は少しずつ崩れてきて……。(帯文より)
この物語に「ギルバート・グレイプ」という90年代のアメリカ映画のことが出てくる。内容は、本より、引用すると
主人公はギルバートという二十四歳の青年だ。バーガーショップの開店が町の一大ニュースになるような、典型的なアメリカの片田舎に住んでいる。父親が彼が幼い頃に首を吊って自殺した。長兄はすでに独立して、家にめったに帰ってこない。家族は、夫をなくしたショックでぶくぶくに太った母親と、知的障害のある弟と、健常者の妹が二人。ギルバートは生まれてこのかた故郷を離れたことがない。次兄でもある彼の役目は家族を守り、養うことだ。そのため近所の食料品店でアルバイトをして生計を立て。家族の世話に明け暮れながら近所の主婦と不倫している。なんの展望も才能もない、さえない男のさえない話。それが淡々とした演出で丁寧につづられていく。
この映画のストーリに似通っているが、本を読んで映画を見て確かめて下さい。
映画は、実によく出来ている作品である。太った母親は尋常でない太り方であるが、父親の自殺でああなるのか。また、知的障害の弟をあのレオナルド・ディカプリオが演じている。DVDで見たときにレオナルド・ディカプリオが演じているのがわからないほどの好演だったように思った。
本の話もしなくてはならない。
この作家も児童文学家出身であるようだ。
【ぼくは悪党になりたい】は、【ぼくは小悪党になりたい】くらいかな…。