夫婦公論
小池 真理子, 藤田 宜永
【夫婦公論】 藤田宜永・小池真理子 著 集英社文庫
《夫婦のバトル・エッセイ》
夫婦作家のエッセイである。
テーマを決めて両方が書かれている。
夫婦の会話
男 確かに、私は無類のおしゃべりです。しかし、自己
正当化と簡単に判断するのは軽率です。私のお
しゃべりは、謙虚さの顕れなのです。
カフェバーのカウンターで黙って、酒を飲んでいる
だけで、女の方から私を誘ってくるだろうなんて、
おこがましいことは一度たりとも考えたことはあり
ません。
また夫婦となってからも、たえずカミさんを笑わせ
喜ばせていなければ、いつか他の男に心を奪われて
しまうのではないか、と不安にかられるのです。
女 そんなにしゃべりたいことがあるもんだろうか、と
不思議にで、最初は相当、面食らったが今では
慣れた。生返事をしながら右耳で彼のおしゃべりを
聞き、左耳でTVの音声を聞き取る、というカミワザ
的なこともできるようになった。彼のおしゃべりを阻止
し、逆に私が言いたいことだけをしゃべり返すコツも
覚えた。やれやれ。
夫(妻)の無口が原因で、夫婦の関係がおかしく
なるケースはあっても、夫(妻)の饒舌が原因でお
かしくなることは少ない。何故か。無口は誤解を
生むが、饒舌が生むのは、せいぜい騒音だけだか
らである。
(本文より)
男がおしゃべりで女が無口な関係は少ないような気がします
が、お互い無口だったり、おしゃべりだったりだとうまくいくの
でしょうか。騒音がいつか、騒音に思われなくなってきたら?