対話篇
金城 一紀
【対話編】 金城一紀 著
《花言葉にも人生が》
短編が3話の本である。
【GO】を読んだとき、映画の題名が一杯出ていて
こんなに出して良いのか、と思ってしまったが。
今回の《花》には、最後に《鉄道員》がひとつ出て
きた。
話のあらすじは、主人公がある病気であることが
わかり、会社を辞めて、ひょんなことから、弁護士
と共に弁護士の別れていた妻の遺品を取りに
東京から鹿児島まで車で行くのだ。
どうして、車かというのは、結婚を決意したときに
弁護士はふたりで旅行しているのだ。
別れて随分たつが、何故自分に遺品があるのか?
弁護士は別れてもずっと妻を思ってきたが、妻もそうで
あったのか。
初めてのデートの時《鉄道員》の映画を見て、忘れな草を
妻が選んだのを勝ってあげた。
忘れな草の花言葉は、真実の愛と『私を忘れないで』
と言われたのを思い出すのだ。
車で移動するのに合わせて、老弁護士の別れた妻への
思いと主人公の人生が語られる。
たんたんした話だが、最後には胸がジーンとしてくる。