東京日記2 ほかに踊りを知らない。 (東京日記 (2))
川上 弘美
07−286 ★★★☆☆
【東京日記2 ほかに踊りを知らない。】 川上 弘美 著 平凡社
《ふしぎなことば、ふしぎな感覚…》
内容(「MARC」データベースより)
たんたんと、時にでこぼこ、どこかシュールに、日々は流れる…。不思議で可笑しく、ちょびっと切ない。カワカミさんの、5分の4(くらい)はホントの、日々のアレコレ。『東京人』連載を単行本化。
内容紹介より
七月某日 雨
ひさしぶりに、俳句をつくってみる。
破調の句である。
「ごきぶり憎し 噴きつけても 噴きつけても」
三月某日 晴
電車に乗る。隣に座っている人が、熱心にメールを打っている。つい、のぞきこむ。「愛されることへの覚悟が、私にはないのかもしれません」という文章だった。びっくりして、思わずじっとその人の横顔を見る。不思議そうに見返される。そんなにびっくりすることも、ないのかな。思い悩む。やっぱりびっくりしたほうがいいんじゃないのかな。思いなおす。
(本文より)
たんたんと、ちょっとシュールに、日々は流れゆく――。
ウソじゃないよ、五分の四はホントだよ。カワカミさんの日記、続いてます。
2004年~2007年分を収録した『東京日記』第2弾。
川上弘美さんがカワカミヒロミさんになったような日記だ。
カワカミヒロミさんの感じることのおもしろさにあふれている。
武蔵野近辺、吉祥寺、西荻窪に現れるようなので、川上弘美さんでも、カワカミヒロミさんでも一度会ってみたい。
十二月某日 晴
おおみそか。
年賀状を書きながら、来年の目標を考える。二つ、思いつく。
一つは、「よくうがいをする」。
もう一つは、「くつしたを裏返しにはかない」。
とても難しい目標だけれど、守るように頑張ろうと、強く決意する。
(本文より)