翼はいつまでも
川上 健一
★★★☆☆
【翼はいつまでも】 川上健一 著 集英社 坪田譲治文学賞受賞作
《ビートルズで若者が変わった》
ビートルズ世代は、どのくらいの年代だろうか?
学校の先生は、何も言わない人もいた、えらく威張っていた人もいた。
先生もえこひいきするのが当り前の時代だった。
そんな時代の中学生が主人公の話です。
ビートルズの『プリーズ・プリーズ・ミー』の曲をラジオの米軍放送で聞き、衝撃を受ける。この曲が主人公に一歩前に出る勇気を与えてくれる。野球部の玉拾いから、レギュラーになり、先生の不条理にも対抗する力をもらった。
甘く?切ない青春時代、けっしてスマートではないが、やはりそこにはほろ苦い思い出が一杯詰まっていた。あの十和田湖のひと夏は、僕を一回りも二回りも大きくしてくれた。斉藤多恵、杉本夏子、同級生のみんなよ、ありがとう、ありがとう、ありがとうと連呼で。そんな声が聞こえてきそうな物語です。