君たちに明日はない
垣根 涼介
【君たちに明日はない】 垣根涼介 著 新潮社 山本周五郎賞受賞作
この本が山本周五郎受賞作なんだ。山本周五郎と言う人は、文化勲章などの賞という賞をすべて断わったという話を聞いたが、その人の賞があるのか。ちょっと複雑だ。
山本周五郎作品は、自分をころしてまで相手を思う心を持つ作品が多い。【日本婦道記】は、結婚する娘にこの本を持たせたという。。【日本士道記】?かなんかに、城に夜、侵入するためにあやまって堀に落ちてしまったので、見張り役にわかるおそれがあるために、それと仲間に迷惑にならないように大きな石を抱いて死んでいた、と言う話だ。凄い話なのだ。
この本は、リストラ屋の話だ。どうも主人公のバランス感覚が理解しずらい。人情があるようであり、何も考えないくらいの厳しさもあり、どうもわからない。年上の女性との愛欲の日々もあり、何か生きがいみたいなものが出てこない。リストラ屋の話だから、それなりに身につつしまわれる話なのだが。
この本が山本周五郎受賞作というのは、不思議な気がするのだ。