夜のある町で
荒川 洋治
07−182 ★★★★☆
【夜のある町で】 荒川洋治 著 みすず書房
《やさしい文体であるが、書評はきびしい…》
メタローグ(アマゾンより)
荒川洋治氏の短文は、名優のポーズのように美しい。もちろん詩ではなく散文である。詩人としての荒川氏の巨大さはいうまでもないのだが、散文家としての彼もまた、絶品なのである。彼の文章で書評や時評を読める歓び。本書には短めのエッセイが集められている。たとえば出会う人の顔について述べた文章。一瞥した顔に互いの間合いも、心映えも写し出されてしまう。そういう目を持ち、刃のような言葉を携えながら人に交わって生きているということの不思議さと切なさが、しんしんと夜気のように伝ってくる。(清水良典/文芸評論家)
東京国際ブックフェアで荒川洋治さんの本を何冊か買ってきた。よく近頃いろいろなとこで見かける名前である。詩人として有名なようである。
この作品・エッセイ・散文を読みすすめて半分くらいまできた。どんどんとすんなりと私自身の胸の内に入りこんでくる文章である。優しさに包まれた文章なのか、漢字が少ない、極端にないからそう感じてしまうのか、あるいは詩人だからか、不思議な気持ちで読んでいるのだ。
今日は初めて読むので、荒川さんがどういう人なのか知らないがこれだけの文章を読めばファンな人たちも多いのも容易にうなづけるようだ。
後半にくると本の批評とか、詩のこととか厳しく語っている。良い、悪いがはっきり述べられて、その根拠も書いてある。自分自身にも厳しいのだろう。
全部が硬いかと言うのでもなく、ユーモア的なものをあり、読んで楽しく興味深い。
何回も読み返したくなる本である。