まぼろし
生田 紗代
07−88 ★★★☆☆
【まぼろし】 生田 紗代 著 新潮社
《2編に出てくる主人公の女性の感情がうまくでている》
内容(「BOOK」データベースより)
「こんなはずじゃなかった」が母の口癖だった。記憶の中の母は、怒ってばかりだった。そして、私が高校三年のときに父と母は別れた。それから母とはもう、八年近く会っていない。なのに、なぜ今になって戻りたいなんて―。逃れることのできない母娘の確執を描く表題作他、会社を辞めて実家に戻った私が高校生の妹と過ごすあてどない時を描く「十八階ビジョン」を収録。
「十八階ビジョン」
「まぼろし」 2編
「十八階ビジョン」
主人公・22歳女性は会社に入社してから4ケ月で辞めて、実家のマンション・23階建ての18階に戻ってきた。両親が中国旅行に行っていない夏に妹・高校生と二人だけでの日常が淡々と語られている。主人公の気持ちの現し方が自然でいい。
「まぼろし」
8年前出て行った母が帰ってきたいという。「こんなはずじゃなかった」が母の口癖のはけ口の矛先は、主人公・亜紀ばかりに向けられていた。父も、兄も母を許しているが、主人公は、…。
2編の主人公の女性の気持ちを表紙の道路に立つ女性の姿を映しているようだ。
この装画を担当している石居麻耶さんは有名な人のようだ、詳しくはHPを見てほしい。今、話題の万城目学さんの「鴨川ホルモー」の装画も石居さんの作品のようだ。
泣きたいとは、思わなかった。
たぶん行ける、どこまでも行ける。
どこにでも行ける。 (帯文より)