有頂天家族
森見 登美彦
07−272 ★★★☆☆
【有頂天家族】 森見 登美彦 著 幻冬舎
《そこのあの人が狸なのか、…》
内容紹介より
第20回山本周五郎賞受賞第一作!著者が「今まで一番書きたかった作品」と語る渾身の作。偉大なる父の死、海よりも深い母の愛情、おちぶれた四兄弟……でも主人公は狸?!
時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。
読書の道に導いてくれたのが、村上春樹【ねじまき鳥クロニクル】という本だ。読んで妙にリズムが良いのである。読んでいて、リズム感が出てくる不思議な感覚なのだ。内容はともかく、この本には今までにないものを感じて、それから村上春樹さんの本、小説、エッセイを読んだものだ。小説などは、井戸的な感覚しかわからないが、エッセイなどすごい良いと思ったりする。前置きが長くなったが、この本にも不思議なリズム感があるように思うのだ。読んでいて、何かリズムで読める、そのリズム感が良いのである。
『オーラの泉』では、輪廻転生というスタイルか、貴方の前世とか、おしゃっているがまったくその通りなのかは疑問だが、この本を読んでいると輪廻転生とは別なスタイルがありそうな気がしたりする。足が速い人は、チーターが人間に化けていたり、泳ぎの速い人は、イルカが人間に化けているだけかも知れない。10万の応募で首尾よく、試験で合格すれば人間に化ける許可されていたりするのか、なんてこの本を読んで妄想したりする。
京都の街は、戦争で失ったところがないので古い時代のものが残っている唯一な場所で、そんな舞台だからこの作品・小説が生きてくるんだろうか。
もうちょっと思想とかが、深みがあれば楽しいだけでなく、もっとすっごい本になるだろう。でも、妄想爆裂な作家がうりなので良いのか。たぬきうどんは美味しいが、狸鍋って美味いのかなー。