逃亡くそたわけ
絲山秋子
181 ★★★☆☆
【逃亡くそたわけ】 絲山秋子 著 中央公論新社 直木賞候補作
福岡市内の精神病院から脱走した二人が九州を縦断する物語。
亜麻布二十エレは上衣一着に値すると言う幻聴が主人公に度々登場するのだが、資本論の言葉だがそうだが作家は大学の経済学部の出身だが、この主人公も経済学部に通っているのだろうか。
この作品は、テンポもよく車の移動なので爽快感もある。二人の方言・言葉も面白い。また、ご当地のいきなり団子となごやんの登場などとにぎやかだ。
躁・鬱とよくわからないが、誰もが少しずつは持ち合わせているのでは思っています。感情の高ぶりや、落ち込みなど誰でもがある、それがある度合いを越すと精神病になってしまうのか。この作品でも躁・鬱病の薬が出てきますが、この作家さんのホームページにも薬の効能が詳しく載っています。ついでにエッセイも読むと社会人として福岡に滞在したことがあり、九州のエッセイが一杯と載っています。
私も九州人ですが、方言を聞くのは蓬田さんみたいに恥ずかしい気がしていましたが、この本を読むと別にそんな感情にはなりませんでした。博多弁と熊本弁とは、ちょっとニュアンスが違うのでしょうか。鹿児島弁は全く別物ですが、たしか江戸時代、外様大名のために他譜藩にわからない言葉にしたと聞いていますが。一度だけ鹿児島に行きましたが年配の人が何を言っているのか、全くわかりませんでした。そのとき本に出てくる長崎鼻にも行きました。
この本は日常から開放されて、また自分自身を見つめる物語なのだ。