夜市
恒川 光太郎
228 ★★★★☆
【夜市】 恒川 光太郎 著 角川書店 日本ホラー小説大賞受賞作
《幻想的で、怖く、悲しく、心に沁みる作品》
内容(「BOOK」データベースより)
大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司は、自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。野球部のヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが―。第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
「夜市」
子供ころ、夜市は特別な日だった。社に屋台が並んで、いつも見ている社が華やかな舞台となり異次元のように感じていた。周りは、暗闇でそこだけがほのかに輝いていた。
この作品は、直木賞候補作にもなって話題になった。それほど完成されていて、無駄の無い文章なのだ。アッーと驚く構成も巧い。これが第一作品なのだろうか。
この本を読んで、人間の持つ創造性の豊かさを憶え、人間の愛愛しさを感じる。
「風の古道」
どちらかと言うとこちらが良いと言う人の方が多いようだ。
こんな発想は、どこから来るのだろうか。日本の叙情的なところからか。
小金井公園から吉祥寺北町、エーッ、わたしでも行けそうな場所だ。このどこかに綻びがあり、古道に入って行ける。現実感が出て、古道の世界に手が届きそうである。ほんのそこの壁を乗り越えると本当にありそうだ。きっと見えないだけかもわからない。
あちらの世界、そちらの世界、いろんな世界があって人間の世界・現況を見ているのだろうか。
これほど楽しめる作品に出会うことがあるからやめられないのだ、本を読むことを。