ぐずべり
清水 博子
246 ★★★☆☆
【ぐずべり】 清水 博子 著 講談社
《女性の持つ強かさを感じるのだが、…》
出版社/著者からの内容紹介より
硬く脆い殻の中。少女の機微を清冽に描く。
日常に揺らぐ狂気を新感覚で描く中編作品集。
頭の中の出来事と現実とがかみ合わない少女の視点から日常の機微を描いた「亜寒帯」。希望の持てない未来に少女が密かな復讐を試みる「ぐずべり」の2篇を収録。
中学生になった理子は母親の菜子にかんして、もしいまおかあさんが同級生だったとしてもぜったいにともだちになっていない、なんであんなおもしろくないひとと結婚したの、亜子ちゃんがおかあさんだったらよかったのに、と父親に文句をつける。――(本文より)
「亜寒帯」を読んで、何日かおいて「ぐずべり」を読んだ。「亜寒帯」は、清水さん独特な文体というか、隙間無く埋められた文字になれないと読むのが大変だ。「ぐずべり」は、「亜寒帯」より幾分読みやすく感じる。
「亜寒帯」は、北海道が舞台であり、多感な女子中学生・藍田亜子の日常が描かれている。石炭と言う言葉が頻繁に出て来て、最後も石炭のこと(熛火)で終わる。そのことが、藍田の感情を現した作品でもあるように思えるような気もした。
「ぐずべり」は、「亜寒帯」の主人公・藍田亜子がAAというイニシャルで出てくる作品だ。「ぐずべり」の題名になっているぐずべりというものが気になった。ぐずべりは、果物でー35℃でも育つものだそうだ。ぐずべりは、北海道の方言なのか。
母親と母親とは違った感覚のAAを比較する理子という中学生で語られている作品だ。