石の来歴
奥泉 光
175 ★★★★★
【石の来歴】 奥泉光 著 文藝春秋 芥川賞受賞作
《石に来歴があり、人間にも…》
内容(「BOOK」データベースより)
「石には宇宙が刻印されている」レイテで戦友から聞かされた言葉によって、岩石に魅せられた男。戦後、彼に訪れる苦難とは!?現在と過去、夢と現が交錯するなかで、妻は狂気にいざなわれ、子は死にもてあそばれる。華麗にしてペーソス溢れる文体で、時と心との織りなす迷宮を描ききる、気鋭の芥川賞受賞作。
「石の来歴」
「三つ目の鯰」 2編
5冊の奥泉作品から、この本を読んでみた。早くから読んで見たい作家であるが、最初の1ページでまあー次にするか、となって延び延びになっていた。よーし、と腹に決めて手に取った。最初の何ページは、難しいそうだったが、7,8ページになると意外と読めるのだ。
「石の来歴」
石に魅せられた主人公の話だが、これが凄い話なのだ。独特な文章も読み慣れると、この重い話に酔いしれる。この本を読んで、秩父の長瀞に何回か行ったことを思い出した。
「三つ目の鯰」、この話も良かった。
主人公・大学生の父の葬儀から始まる。キリスト教、教会など知らないことが出てきて、宗教のことが身近に思える。これは楽しかった。