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綿矢 りさ
217 ★★★☆☆
【インストール】 綿矢りさ 著 河出書房新社 文藝賞受賞作
怠惰な高校生活に厭きた主人公・女子高校生が登校拒否児になり、そのとき知り合った小学生と風俗チャットの世界を知り現実感に戻る話だ。
小説の巧さは、大体構成の考え方で決まるように感じる。この本も限られた人、限られた場所・空間で良くまとめられているのだ。作家が17歳と言う年齢からしても奇抜さもないし、文章も読みやすいのだ。賞をもらうからには、何かがあるのかわかる気がする。わからない作品が多いなかに私は思うのだ。
この本の中に、インターネットのことが出てくる。小学生と女子高校生が人妻になりきってチャットする。こういう話は、いくつか取り上げている作品もある。男性が女性になったり、年老いた女性が若い女性になったりで、画面には会話の文字が流れるだけであるからだ。でも、大体じっくり考えればわかるようだ。現実社会でもチャットの中から夢から出て実際会って見ると随分印象が違ってくるのだろうか…と思うのだ。今では、写真なども出ているから、こんなことも減っているのか。