夏のピューマ
領家 高子
62 ★★☆☆☆
【夏のピューマ】 領家高子 著 講談社
《ピューマみたいな早さで夏は過ぎていく》
画家・仁木妙子は、九鬼周造の研究家・教授・永沢英之に水彩画を贈った。その縁で京都で会って、身を任せてしまうのだ。……。
……実存の意味が最も顕著にあらはれているのは人間存在においてである。人間存在にあつて存在の仕方がみづからによつて決定されると共に、その決定について自覚されているのである。人間存在は存在そのものを自覚的に支配している。如何に存在するかに対する自覚的決定力を有つている。……個体の意味は人間存在にあつて最も角度を鋭くしている。 (本文より)
上文は、九鬼周造の論文か、何かであろう。九鬼と言う人は、西洋哲学の普及に努めた人らしい。この本にも、こうした哲学が出てくる。
物語は、画家・妙子と永沢とのひと夏の愛と運命についての作品だ。