おんみつ蜜姫
米村 圭伍
166 ★★★☆☆
【おんみつ蜜姫】 米村圭伍 著 新潮社
ちょっと読むのも、しんどくなってきた。
乃南さんの【駆けこみ交番】も30ページくらいで止めてしまった。普通なら読める作家さんと思っていたから、うーんと唸るばかりなのです。やはり、ちょっと疲れぎみなのか。こんなときは休憩すればよいのだが、電車の中で間が持たない。仕方なしに積本の中をあさっていたら、この本が出てきました。時代もの、読めるだろうか、と思って手に取ったら、これがなかなかに面白いのだ。
何か、この本は変わっている。
講談調?ではないが、読みやすい語り口で書いてある。まるで、映画の一シーンを見ているようである。新聞に連載されていたので飽きさせない筋書きである。これを楽しみに新聞が届くのを待っていた人も多かったのでは、と思った。
あらすじは、蜜姫・九州豊後温水藩の末娘が、小藩の合併に立ちはだかる正体不明の刺客、巨大な陰謀に向かっていくのだ。海賊、武田忍びの者、尾張柳生、そして徳川天一坊ら次々と現れる難敵相手に四国、備前、尾張、江戸……行脚はつづく。蜜姫の一太刀は悪を正し、明日を切り開けるのか。(これは、帯文をそのままだ)
暴れん坊将軍・徳川吉宗も出てくる、南町奉行大岡越前守忠相も出てきたり、もっとよいのは歴史の裏側まで書いてあり、大変にわかりやすいのだ。登場人物も母・甲府御前、笛吹夕介・武田忍び?、五平、雲吉など多彩で多才なのである。おーっと忘れてはいけないのが忍び猫・タマである。忍び猫・タマの活躍なしでは、蜜姫も事件を解決出来ないのだ。