天使の代理人
山田 宗樹
37 ★★★★☆
【天使の代理人】 山田宗樹 著 幻冬舎
《中絶は殺人ではないですか?私にとっては衝撃的な話だ。》
望まれない命はありますか?
子供の命は誰のものですか?
中絶は殺人ではないですか?
【嫌われ松子の一生】を読んで、気になっていた作家さんである。いつか、読んでみたいと思っていたのだ。
読んだ後に残るものは何んだろうか。この本を読んで良かったと感謝したい気持ちです。妊娠中絶がテーマの話です。漠然としか知りませんでしたが、この本を読んで驚くことばかりでした。年間、300万から500万の中絶が行われている。子供を産めない訳は、結婚してない、経済的理由等、いろいろありますが、男女が愛し合った結果な訳ですから、子供、生命の尊重など考えないのでしょうか。
妊娠中絶という重いテーマであるが、小説だから読みやすく分かりやすい。と、言っても簡単ではなく、読者自身にも考えさせられる。多種多様な意見を持った人の代表が登場するようにして、掲示板でやりあったりする。本の構成もうまい。
助産婦・桐山冬子、数百にのぼる胎児の命を奪った。あるとき、中絶したはずの紫色の赤ん坊の口元がぴくりと動いた。赤ん坊の目に映ったのは醜い冬子の顔だった。罪の償いとして、「天使の代理人」として、中絶の説得にあたるのだが……。
本の始まりに
『Yに
いつか君が読んでくれることを願って』
と、書いてありますが、Yと言うのは若者では。若い人の是非読んで欲しい作品だ。