魚が見た夢
柳 美里
【魚が見た夢】 柳美里 著
《柳 美里さんに見る人生は》
久し振りに柳美里さんのエッセイを読んでみた。
やっぱり、また強烈に僕の頭の中がくらくらしたのを感じた。『 夕暮れ時
……・・…
「人間なんて十六から二十三までの年がなきゃあいいんだ。でなきゃあ、その年のあいだは眠ってりゃあいいんだ。」これはシェイクスピアの『冬物語』の中の羊飼いが吐く台詞。
十歳のときこの台詞を発見し、まったくその通りだ、と思ったものだが、私は今年の六月には二十五になってしまう。こうなるといっそのこと、五十くらいまで眠っていたいなと思ったりする。
中学校のころから私が眠りたくなるのは、いつも太陽が引き潮のように窓の外を横切ってゆく夕暮れ時だった。
夕暮れ時に体を横にすると、なぜか過去のひどい出来事ばかりがパレードのように頭の中を通り過ぎ、私は誰もいない部屋で顔を歪め小さな叫び声をあげる。・・……』(本文より)
10歳でシェイクスピアとは驚きである。
僕が10歳のときは、漫画の本しか読んでいなかったような気がする。
眠りで体がリフレッシュするのはともかく、悩めもすべて解決されていればと近頃は特にそんなふうに思ってしまうのです。