工学部・水柿助教授の日常
森 博嗣
211 ★★★☆☆
【工学部・水柿助教授の日常】 森博嗣 著 幻冬舎
まず、始めに本文を引用する。
つまり、ミステリィの謎解きと、普通のクイズや数学の問題との差は、彼女の言うところの「納得のいくストーリィ」の有無にあるようだ。
水柿君も、須摩子さんにすすめられて、何冊かミステリィを読んでみたけれど、今のところ、「納得のいくストーリィ」には出会えない。どの結末も、なんだか、取って付けたような、単なる言い訳に思えてしかたがないのだ。
そんなことありえるか、と首を捻りたくなるようなトリックばかり。
素直にその点を、須摩子さんに指摘してみると、。
「ま、その辺は、まいっかって思わなきゃ」なんだそうである。
水柿助教授の悩みは、依然として尽きない。
私の廻りの若い人に読書はどのジャンルが好きか、と言う問いに8割くらいがミステリィと答えるのだ。どこが人気があるのかが、私にはわからない。私は、近頃のミステリィが苦手なのだ。本文の引用の水柿助教授とまったく同じ意見なのだ。「納得のいくストーリィ」がないのだ。
この本は、水柿助教授とミステリィ好きな奥さん・須摩子さんの日常生活の物語です。のちに、ミステリィ作家になる水柿助教授とあるから、作家本人なのだろうか。日常に於けるちょっとしたミステリィを書いている。ミステリィの入り口部分のところである。
私は、水柿助教授と違ってまだミステリィ好きにはなれないでいる。