001にやさしいゆりかご
松村 栄子
108 ★★★☆☆
【001にやさしいゆりかご】 松村栄子 著 ベネッセ
青春時代に過ごした場所に、心休まりたりして落ち着く空間のところが一つや二つは浮ぶだろうか。高校時代、学校帰り友人の家に毎日寄っていた。そこには、優しいお母さんがいつもニコニコして、飲み物とおやつが待っていた。ある時期、毎日のように行っても優しい眼差しは変わらず、友人との会話にも、弁えて入ってるだけであった。まったりとした時間・空間が好きだった。
青春時代、心安らぎ、友と語り合う場所がキーになる物語である。
物語は、主人公の女性の小学校時代から大学を卒業して社会人になる作品である。
主人公の女性が東京の大学に来て、小学校時代に転校して来て転校していったゲームオタクの男、都会育ちの男、高校時代は同じ学校だが知らなかった女の3人が何時しかゲームオタクのマンションに集うようになる。このマンションは、ゲームオタクの両親が転勤で留守なのである。
このマンションが青春時代のあるときはエネルギーだったり、心癒す場所だったのだ。恋愛があったり、将来のぼんやりとした不安があったり、でもここに来れば精神が少女の頃に戻る感覚になるのだ。
読後、こんな場所は自分にとってはどこだっただろうか、と考える読者がいるだろう。